2005 F-1 Rd12 ドイツGP観戦記
ライコネンが突然止まった。
トップを快走中のライコネンが35周目に突然スローダウン、ほどなくしてコース上で止まってしまった。
ハイドロリック系のトラブルだった。
しかもこのトラブルは圧力バルブがきちんと閉められていなかったことが原因で起こった。
いつでも完璧を求めるロン・デニスにとっては信じられない出来事だった。
ライコネンとマクラーレンにとって、あまりにも痛いリタイヤだ。
ライコネンのリタイヤ後は、アロンソが難なくトップにたち、2位以降と大きく離してドイツGPで大きな勝利を得た。
これによりチャンピオンシップポイント上でアロンソは87ポイント、ライコネンが51ポイントでその差は36ポイント。
残りのGPは七つ。
アロンソとルノーが今年抜群の信頼性を見せていることを考えると、これでほぼドライバーズ・チャンピオンシップの行方は決まったと言えるだろう。
今シーズンのマクラーレンを見ているとメカニカルトラブルが多すぎる。
アロンソがたった一回だけ自分のドライビングミスでリタイヤしただけなのに、ライコネンはサンマリノ、ヨーロッパ、ドイツと三回もメカニカルトラブルでリタイヤ。
それ以外にフランスとイギリスでもフリー走行でエンジントラブルが発生し、予選で10番手降格になるなど、トラブルに悩まされてきた。
前回の観戦記でエンジントラブルが発生しているのが、決勝でないのはせめてのも救いだと書いたが、今回はその恐れていた決勝レース中にトラブルが起こってしまった。
抜群の速さを見せつけるマクレーレンだが、その代償としてトラブルが発生しているのか因果関係は不明だ。
ぎりぎりまで攻めたマシン作りが問題なのか、昨年Bスペックを走らせたことによるマシンの開発不足が原因なのかはわからない。
ただ、昨年以前もメルセデスエンジンはたびたび壊れていたし、今年もそれを解決し切れていない。
メルセデスエンジンを開発しているイルモアが大幅な人事異動により混乱しているのが長引いているのかもしれない。
開幕ダッシュで出遅れたマクラーレンが信頼性不足では追いかけることはできない。
予選前はマクレーレンが1-2フィニッシュするだろうという見方が大勢だった。
それがまず予選で崩れた。
最後に出走したモントーヤが最終コーナーでスピンし、最後尾からのスタートとなった。
ほとんどスピンしないような場所でのスピン。
16コーナーをわずかにオーバースピードで抜けて、外側の縁石に乗り上げすぎてバランスを崩したまま、最終コーナーに突入しスピンしたように見えた。
それでもモントーヤは1周目の混乱に乗じて早々と上位を狙える位置に着け、ライコネンのリタイヤもあり2位でフィニッシュした。
コンストラクターズのタイトルはまだ狙えるかもしれないが、ドライバーズタイトルはほぼ決まったと言えるドイツGPとなった。
▽明暗分かれたBARホンダ
BARホンダは二台で明暗が分かれた。
予選ではバトンが2位、琢磨が8位。
ただ琢磨の前のウィリアムズの二台は3ストップ作戦と見られていた。
出走順位が5番手だったと考えると実質6位は悪くないタイムだ。
スタート直後の混乱で接触してしまい遅れた琢磨はフィジケラと再度、接触してしまいフロントノーズを交換する為のピットインを余儀なくされた。
その後もペースは上がらず12位でフィニッシュ。
前回のイギリスGP同様、不完全燃焼のレースとなった。
一方のバトンはスタートでアロンソとミハエルに先行されたものの最後にミハエルを鮮やかに抜き返し、今シーズン初の表彰台をものにした。
今年のホンダエンジンはパワーが出いているようなので、モンツァが楽しみだ。
▽さえないフェラーリとウィリアムズ
フェラーリは一時の低迷は抜け出しつつあるがまだまだマクレーレン、ルノーと比べられるレベルまでは来ていない。
タイヤが原因なのか、マシンが原因なのか対象とするチームがないだけに対策に迷いが見られるようだ。
それよりひどいのがウィリアムズ勢。
一時期は最高馬力を誇ったBMWエンジンは今年はダメ。
シャシー側の力のなさに加えて、頼みのエンジンがこれでは苦しい戦いは続く。
▽ハンガリーGPプレビュー
次のGPでアロンソがライコネンに4ポイント差以上をつけることができれば、タイトル獲得は大きく近づく。
4ポイント差以上つけると、残り6戦で40ポイント差がつきハンガリーの次のトルコGPでタイトルが決まる可能性もある。
しかも次のハンガリーGPはスリッピーで抜きにくいサーキット。
ライコネンは今回のリタイヤで予選出走順位が一番目。
マクレーレンの別格の速さは驚異的ではあるが、さすがに最初の出走でポールポジションを取るのは厳しいだろう。
アロンソが予選でミスをして大きく順位を落とすとなると話しは別だが、それも今年の走りを見てると望みは薄い。
アロンソが優勝して、ライコネンはよくて2位、何もなければ3位くらいが妥当な順位だろう。
ライコネンの厳しい戦いは続きそうだ。
- 2005 F-1 Rd12 ドイツGP ウラ観戦記
- 2005 F-1 Rd13 ハンガリーGP ウラ観戦記 予選