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メルセデス盤石の作戦で完勝 2015 Rd.3 中国GP観戦記

_79p5815-s まったく危なげのないレースだった。最後にセーフティーカーが登場し、少しひやっとしたが、もしレースが残り数周で再開していても、メルセデスの1-2には全く影響なかった。 メルセデスは前のレース、マレーシアGPでの敗戦を受け、徹底的に対フェラーリの対策を練ってきた。それがタイヤ交換の回数をフェラーリに合わせてくることだった。 前回、フェラーリはメルセデスよりも1回タイヤ交換の回数を減らして優勝した。だがマシンの性能差は明らかなので、メルセデスはそのアドバンテージをタイヤを労る方向で使ってきた。 1周のタイム差だけを見るとメルセデスは3ストップでも優勝できるペースはあった。フェラーリよりもタイヤに厳しいメルセデスは、その方が自分達のペースを活かすことができただろう。中国GPは長いストレートもあり強力なパワーユニットを持つ彼らであれば、それでも勝てていた可能性はあった。 だがタイヤ交換をフェラーリと全く違う周回ですると、前回のように思いもかけないタイミングでセーフティーカーが入った時に、手が打てなくなる。また早いタイミングでタイヤ交換した場合、レース序盤で遅いマシンの集団の中や後ろで、コースに戻ることになり、自分達のペースが守れないリスクもあった。 そのリスクを抑える為にもメルセデスはフェラーリと同じ2ストップできた。いくらフェラーリでも1ストップで走りきるのは難しい。 タイヤの寿命を持たすために、メルセデスはラップタイムを抑えてきた。そうしてタイヤを持たせようとしたのである。その証拠にハミルトンは最初のタイヤ交換まではペースを抑えて、タイヤ交換前の2周、13周目と14周目に全体ベストのタイムを記録した。 レースを通じてハミルトンはその気になればベッテルをもっと離すことができたにも関わらず、意識的にペースを抑えてタイヤ交換を2回ですむようにした。 その為、フェラーリは打つ手がなく、タイヤに優しいはずのベッテルが先にタイヤ交換して、2位のロズベルグをアンダーカットして抜こうとした。だがそれはメルセデスも対策を考えていて、ベッテルとの差をアンダーカットで抜かれない程度にはキープしていて、フェラーリの企みは失敗に終わった。 ここまで盤石の作戦を見せつけられると、メルセデスにつけいる隙は雨とかの不確定要素がないと厳しくなる。 また、しばらくはメルセデス主導のレースが続きそうである。