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【速報】ルイス・ハミルトンがメルセデスへ移籍  <BR>-ハミルトンとチェコのチャンスとピンチ-

ハミルトンのメルセデスへの移籍が正式に発表された。
なぜ彼は最強チームの最強マシンを捨てて、名前は有名だが平均的な成績しか収めていないチームへ移籍するのだろうか?

そこには多くの理由が絡み合っている。
経済的に厳しい現在、プライベートチームの中では裕福と見られているマクラーレンでも余裕があるわけではない。ルイスとの現在の契約は景気の良かった時期に締結されており、その頃はまだ金銭的な余裕もあった。
ところがマクラーレンはボーダーフォンがスポンサーから離れるとも噂されており、ルイスに十分な額のオファーが出せなかった(最終的にはメルセデスと同額をオファーしたとの報道あり)。

また肖像権の取り扱いもマクラーレンではチームが主導権をもっており、ハミルトン側は自由にビジネスができない。今回、個人スポンサーについてもハミルトンは多くの権利を与えられたようだ。さらにマクラーレンはどのドライバーも例外なく、オリジナルのトロフィーをチーム側が所有する契約である。ハミルトンはこれにも意義を唱えており、お金だけの問題ではないことが、両者に埋めきれない溝を作ったようだ。

でもメルセデスに移籍してルイスは満足するのだろうか。
 来年、いきなりメルセデスが優勝争いするとは考えにくい。
2014年からは新しいエンジン規則が導入され、ワークスチームが有利とも伝えられるが、同じエンジンをマクラーレンにも供給すれば速いのは今も昔も将来もマクラーレンであるのは明らかだろう。

どうもこの契約にはルイスのマネージメント会社XIXエンターテイメントの影が見え隠れする。
マネージメント会社からすれば肖像権や個人スポンサーに対する自由度が大きければいろいろなビジネス展開ができる。
さらにメルセデスというビッグブランドを背景にした方が、彼らは都合がいいだろう。

でもスポーツ選手として見た場合、この決定は疑問だ。
ルイスがメルセデスを俺の手で勝てるようにしてやろう位の気概を持って移籍するのならいいのだが、そうでなければ彼は必ず失望するだろうし、後悔するだろう。実際彼はそう発言しているのだが、言うのとやるのでは大違いである。
マクラーレンで彼はピットに来れば、適切にセットアップされた速いマシンが用意されていた。彼はヘルメットを被って、コクピットへ乗り込んでドライビングへ集中すればいい。
ところがメルセデスではこうはいかない。全てがマクラーレンとは違うのである。それに気付くまでにそう時間はかからない。
彼はマクラーレン以外でのレース経験が無い。つまり彼にとってはマクラーレンがスタンダードである。だがマクラーレンのスタンダードは非常に高い。他のチームへ行けば当然レベルが下がる。それを彼は受け入れられるのだろうか。恐らく彼はそんなことは考えていないと思うが。

そ して同時期にマクラーレンからペレスと複数年契約したことが発表された。彼は今年三回の表彰台に登っている。だがそのどれもがライバル達と違うストラテ ジーをとって得ている。つまり彼はまだライバルと同じストラテジーを使って表彰台に登った経験がない。すなわち彼は自分自身の能力を証明していないと思 う。フェラーリがペレスの採用を見送ったのはそういう経緯があるからだ。フェラーリが離したペレスをマクラーレンが得る。この決断はどちらに吉と出るかは 来シーズンを待たなければならない。

速いマシンに乗せた時、ドライバーはチャンスをつかむと同時に危機にも陥る。速いマシンに乗ればいい わけはきかない。勝つしかないのだ。特にチームメイトが勝っている場合にはそうだ。ペレスは来年、正念場を迎える。彼が真の一流ドライバーになれるかどう かは、判断は来年される。

さてもう一人の主役のシューマッハーはどうするのか?当然、引退してメルセデスのアンバサダーかチーム首脳の一人になると思われるが、もし彼が現役を続投したければ、意外やザウバー移籍もあるかもしれない。
ただ彼の場合は、移籍するとお金も動くのでなかなか一筋縄ではいかないだろう。

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