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2012 Rd16 韓国GP観戦記 <BR>ベッテルの敵はタイヤだけ

▽ ベッテルの敵はタイヤだけ
ベッテルは今年初めて3連勝したドライバーになった。予選ではアタック中のマッサをインラップとベッテルが勘違いして最後のアタックを失敗し、2番手グリッドからのスタートとなったベッテルだったが、スタート直後にウェバーをかわし、後は彼の一人旅だった。マシンの速さは群を抜いており不安はなかった。
ただ唯一の不安は右フロントタイヤだった。このサーキットは左回りの回り込む中高速コーナーが多く右フロントタイヤに大きな負荷かがかかる。その為、ドライバーは多かれ少なかれこのトラブルに見舞われていた。特にレッドブルはコーナーリングスピードも他に比べて速く、タイヤへの負荷は大きかったので酷い状況となり、彼の右フロントタイヤのエッジはボロボロになっていた。ピレリが今シーズン半ばからコンパウンドを薄くしてきたことも原因の一端にはある。
ただベッテル自身はそれほど不安を感じていなかったようだ。彼はエンジニアのロッキーから再三再四、タイヤを労れと無線連絡を受けながらも、セクターベストや全体ベストのタイムを記録していた。第三セクターのベストタイムは彼が最終ラップに出したものだ。つまり彼は自分でドライビングしている中で、グリップやマシンのバランスに不安はなかった。
センサーでモニタリングしていたエンジニアは最後の最後まで心配していたようだが、ベッテルはそうではなかったようだ。
▽レッドブルは覚醒した
韓国GPでは2戦連続のフロントロウ独占に、シーズン初の1-2フィニッシュ。ついにレッドブルが昨年までの速さを取り戻 した。これまで苦労してきた彼らだがシンガポールGP以降、ダブルDRS、リアカウル周り、フロントウィング等々のアップデートを投入。ついに手が付けら れないレベルに達してしまった。こうなってはアロンソをもってしても対抗するのは難しい。
ただ日本GP以降のレッドブルの速さはこうした新しいエ アロパーツの導入だけでは理解が難しい。彼らが昨年同様の速さを取り戻したとすれば、昨年同様の排気ソリューションを駆使していると考えてもいいのではな いだろうか。もしそうであるならばライバル達はレッドブルが壊れて止まるのを願うだけになるだろう。

▽チームオーダーは出るのか?
予 選でポールポジションを獲得したウェバーだったが、スタート直後にアウトからチャレンジしてきたハミルトンをブロックしにいった結果、インからベッテルに 抜かれてしまった。彼が勝つためにはスタートでベッテルを押させる必要があっただけに、これは痛いオーバーテイクになった。ただここまでチャンピンシップ 争いがベッテルとアロンソに絞られてしまった以上、ウェバーが上位にいた場合、なんらかにチームオーダーがでるだろう。おそらくそれはベッテルを先にタイ ヤ交換して、抜かせるとかの比較的穏当な方法で行われるだろうが。

▽マッサの復活
今回、フェラーリは非常に速かった。特にレース ペースでは良かった。ただレッドブルがもっと速かっただけである。特にマッサの調子はよく、いつもはアロンソよりタイヤの持ちが悪いのだが、今回は逆で普 通に走らせていれば3位になったのはアロンソではなくて、マッサだったろう。
3位になったアロンソはなんとかウェバーを抜いて、より多くのポイン トを持ち帰るべくいろいろ仕掛けたのだが、今のレッドブルを逆転するのは容易ではない。なぜならフェラーリはここ6レースほどメジャーなアップデートがお こなわれていない。それで表彰台に登るアロンソもすごいのだが、レッドブルに勝つにはマシンの性能向上が欠かせない。
逆転されたとはいえベッテルとの差はまだ僅か6ポイントである。苦しい戦いは続くだろうが彼は諦めずに戦っていくだろう。

▽トラブル続きのハミルトン
今 回、ハミルトンはまたしてもサスペンションパーツのトラブルで泣いた。レース途中でリアのアンチロールバーを失った彼はタイヤの寿命が短くなり3ストップ しなければならなくなった。これでルイスは3戦連続のメカニカルトラブルに見舞われている。これはマクラーレンにしては珍しい事である。
ハミルトンはレース終盤には、コース外にある剥がれかけていた人工芝をエアロパーツで引っかけてしまい、それを引っ張りながらの走行になりかなりのダウンフォースを失いながらも、追いすがるペレスを抑えきり何とか1ポイントを持ち帰った。

▽痛かった可夢偉のリタイヤ
日本GPで3位表彰台に上がった可夢偉にとってこのオープニングラップでのリタイヤは痛かった。彼が来年のシートを獲得にするには結果を出し続けるしかない。光陰矢のごとしのF1界では結果を残し続けなければ、記憶の彼方に行ってしまうだけである。
接触に関して言えば三台が横並びになりコーナーへアプローチするなかでスペースがなくなり接触したように見える。だがこの場面は接触してはいけない場面だっただけに、可夢偉が避けられなかったのが悔やまれる。残りのレースは4戦。何が何でも結果を残すしかない。
 

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