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トラブルなき自滅 メルセデス

f1hun2015_jk1761167-s メルセデスの2台がいない表彰台は、驚きにみちたレース結果を象徴していた。 イギリスGP同様、スタートに失敗したメルセデス。トップチームが2レース連続でスタートに失敗することはとても珍しい。実際にはメルセデスの2台が大きなミスをしたわけではないが、フェラーリの仕事の方が優れていたのは明らかである。 そしてオープニングラップで走行ラインを変更したロズベルグとの接触を回避しようとしたハミルトンが、コースオフ。クラッシュは免れたが大きく順位を落とした。その後、入賞圏内にカムバックしたハミルトンはコース上の接触で、二度のペナルティを受けながらも、なんとか6位でレースを終えた事は幸運でもあり、彼らの実力を示すことになった。 だが2台とも入賞したとしても、この結果はなんの慰めにもならない。 ロズベルグが最後のスティントでミディアムを選択したのも、理解が難しかった。彼は第2スティントでミディアムを履いていた。だから当然最後のスティントでは1秒以上速いソフトを選択すると思っていたのだが、なんと彼は遅い方のミディアムを選択。彼がソフトを履いていれば、セーフティーカー後にタイヤのウォームアップに苦しむベッテルを攻めることができたし、ソフトを履くリカルドに攻められて接触することもなかった。 ロズベルグがミディアムを選択した理由は、この方がソフトよりバランスがよかったからなのだだが、ソフトの方が1秒以上速いのに、いくらバランスが良いからといってミディアムを履くのは、自ら勝利を手放すのに等しい判断である。 チームは、あの時点でソフトに交換すると最後の1周タイヤがもたなかったので、まだミディアムしか温めておらず、ソフトの準備ができてなかったと説明している。もう一周バーチャル・セーフティカーが長ければソフトへの変更が可能であったと話してはいる。 だがセーフティカーが入っていて、それが続くのであればタイヤが温存できるわけで、ソフトタイヤへの交換は考えておくべきだろう。このレースでのミディアムタイヤはほとんど罰ゲームと言えるほど遅かったわけで、ミディアムを続けて履くという選択肢は、ほとんどなかった。 実際、ロズベルグはリカルドと接触するという罰ゲームを受けてレースを失っている。だからその前の時点でソフトタイヤも温めておくべきだった。まさか彼らほどの予算規模をもつチームがタイヤウォーマーを1セットしか持っていないということもないだろう。 結局、ロズベルグもチームも最後のタイヤ交換の時点でベッテルに勝つよりも、2位をキープし、対ハミルトンとのポイント差を考えたのであろう。それであればベッテルが勝利したのも当然の結果である。 ハミルトンはまたも自滅していった。流れが良い時には手がつけられないハミルトンであるが、一度後退すると、それを挽回しようとさらにミスを重ねてしまう。悪い時のハミルトンが出てしまった。速さは誰もが認めるハミルトンであるが、最強になりきれないのはこういうところに原因がある。 それでもロズベルグも接触での後退があり、ハミルトンが得点差を広げられたのは幸運としかいいようがない。