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バーレーンGP観戦記 ベッテル優勝 三つのポイント

ベッテルの優勝には三つのポイントがあった。

▽第一のポイント アロンソのトラブル
最初のポイントは、アロンソのDRSトラブル。彼はレース序盤で、一度DRSオン状態になったリアウィングが元の閉まった状態(DRS オフ)に戻らなくなってしまった。当然、リアのダウンフォースは激減し、速く走れない。原因は油圧系ではなく機械的なトラブル。しかもフェラーリは予定外のピットインをしてリアウィングをメカニックが手動!で戻したにも関わらず、ピットアウトしたその周にもう一度DRSを使用し、また開きっぱなしになり二度目のピットインを強いられて、彼のレースは終わった。その後フィニッシュまで走り八位入賞したものの、DRSなしでの苦しいレースを強いられた。

一度目のピットイン時にトラブルの原因はつかめていなかったにも関わらず、またDRSを使用させたのは疑問が残る。もちろんレースを通じてDRSなしで走るのは大きな不利になるので、使いたいのは理解できるのだが。レースペースのよかった彼は唯一ベッテルに対抗できるドライバーだけだっただけに、このトラブルはベッテルをかなり楽にした。そしてアロンソは取れたはずの貴重なポイントを失う事になった。
▽第二のポイント ピレリタイヤの判断
二つ目の要因はピレリタイヤにあった。ピレリは元々、バーレーンにソフトとハードタイヤを持ち込む予定に なっていた。ところがマレーシアGP終了後、ソフトの代わりにミディアムを持ち込む事を決めた。低温の中国で新品ソフトが七周しか持たなかった事で、この 判断が正しかったことは証明されたが、タイヤに厳しいレッドブルには有利に働いた。これはレッドブルがピレリに政治的な圧力を掛けたのが原因かどうかはわ からない。レッドブルは再三ピレリに対して、タイヤの耐久性をあげるように要請している。もちろんピレリはこの要請を拒否しているが、耐久性に富むタイヤ はタイヤに厳しいマシンにとっては有利である事は明らかである。脆いタイヤはタイヤへの攻撃性が高いマシンと、低いマシンの差が明確に出やすい。理由はど うあれ、このタイヤアロケーションの変更がベッテルに有利に働いたのは間違いがない。

▽第三のポイント ライコネン謎の予選失速
三 つ目の理由はロータスのライコネンが予選で上位にこなかった事だ。彼はフリー走行からロングランペースも、一周のアタックタイムもよく、予選もQ2までは とても速かった。ところがなぜかQ3で失速。ライバルがQ2からQ3にかけてラップタイムを伸ばしていく中で逆に遅くなった。例えばロスベルグは0.5 秒、ベッテルは0.2秒、アロンソは0.7秒、ハミルトンは0.6秒もQ2からQ3で改善している。しかしライコネンはQ3で逆に0.2秒遅くなって、予 選を八位で終わる。しかもこの原因が不明だったことがさらに謎を呼んだ。

それでも持ち前のタイヤに優しいマシンとドライビングで2ストップ作戦を敢行。見事にライコネンは二位で表彰台に登ることに成功。彼らは昨年も中団グリッドからスタートし、二位と三位になった実績があり、今回も予選さえ良ければ勝つチャンスはあった。
もっともこれは昨年から続くロータスの弱点であり、それは今年も改善されていない。(開幕で勝てたのは、スタートでジャンプアップできたから)そしてそれが改善されない限り、彼らはこれから何回も表彰台に登るだろうが勝つのは難しいだろう。

も ちろん今回のベッテルは素晴らしく、優勝に値する走りだった。序盤のアロンソとの激しいバトルを制しての二位キープとロズベルグへのオーバーテイク。その 後の速いペースとタイヤの持ちを両立した見事な走り。そして、チームを凍らせ、エンジニアの精神状態を悪化させるいつものお茶目なレース最後の最速ラッ プ。
アロンソにトラブルがなく、ライコネンが予選上位でスタートしてても彼が勝ったかもしれないが、レースははるかに厳しい戦いになっていたに違いない。

▽本日のMVP その名はポール・ディ・レスタ
今 回、フォースインディアの二台は素晴らしく良かった。特にディ・レスタは見事に2ストップ作戦を成功させ、あともう少しの所で三位という表彰台を狙えるポ ジションを走っていた。そこに破片を拾い予定より早いタイヤ交換を強いられたグロージャンがやって来た。3ストップにしたグロージャンは瞬く間にディ・レ スタに追い付き最後に抜いていくが、これはタイヤの状態が全く違っていたので、彼の走りは素晴らしく褒め称えられるべきだろう。開幕戦に続くフォースイン ディアの大活躍。タイヤに優しい彼らの存在は、これから上位陣に脅威を与えそうだ。
 

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