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2013 Rd7 カナダGP観戦記 復活!無敵のベッテル

 ▽無敵のベッテル
久しぶりのベッテル勝利の方程式。ポールからスタートして、そのまま逃げ切る。この日のベッテルはスタートで前に出た後は、誰にも脅かされる事なく勝利。ここまで三年連続ポールポジションを獲得しながら、一度も勝利のなかったカナダGPでの初優勝。
このサーキットは基本的に低速コーナーとシケインしか存在しないので、他のサーキットと違いダウンフォース量は絶対的な意味を持たない。その為にこの三年間、圧倒的なダウンフォースを武器に強さを見せてきたレッドブルの勝利がなかったわけだが、今回は危なげなく勝ち切った。もっともエスケープゾーンの少ないこのコースで壁にヒットしたり、コースアウトしたりする場面もあったので楽勝とはいう事はできない。
ただ以下に述べるように、ライバル達とピレリのタイヤ選択に助けられた面はある。
 ▽素晴らしい仕事を見せたアロンソ
アロンソの勝機は予選で潰えた。レースペースは速く安定しており、タイヤへの攻撃性が低いアロンソは優勝候補の 最上位に位置していたのだが、予選でのダンプ状態の路面、低い気温。そしてQ3後半にセクター3で降り出した雨。それらが全てフェラーリに味方せず、予選 六位に終わった。

それでもピレリが保守的なタイヤ選択(スーパーソフトとミディアム)をしなければレースの筋書きはまた違った。ピレリの保守的なタイヤ選択はフェラーリのアドバンテージを失わせ、レッドブルとメルセデスには有利に働いた。
ポール・ディ・レスタがスタートから57周をミディアムで走り切った事を見てもわかるように、ここはミディアムではなく、ソフトをプライムとして持ち込むべきだった。
ただ最近のピレリはタイヤトレッドの剥離問題に神経質になっており安全を見ればこのタイヤ選択は責められない。

もしアロンソが二列目からスタートしていれば、これほどベッテルが独走する事もなかっただろうし、ソフトタイヤが持ち込まれていれば、もっとスリリングなレース展開になっただろう。

それでも六位スタートから二位表彰台は素晴らしい結果である。アロンソが抜いた相手はロズベルグ、ウェバー、ハミルトンという素晴らしいドライバー達である。
ベッテルが壁に激突する可能性もあったのだから、このレースもアロンソは最高の走りを見せてくれた。

▽ハミルトンの三位はタイヤテストのお陰?
リ ヤタイヤに厳しいサーキットにリヤタイヤに厳しいマシンの組み合わせ。これがカナダでのメルセデスがおかれた状況であった。ハミルトンはこのサーキットを 大得意にしているので、予選上位にくるのはわかっていた。もしQ3最後の新品インターミディエイトでのアタック時にセクター3で雨さえ降らなければ逆転の ポールポジションも夢ではなかった。

ただレースペースには疑問が残ったが、以前のレースと比べると粘る事ができた。アロンソの項でも述べ たが、今回ピレリが保守的なプライムタイヤ、ミディアムを持ち込んだ影響はメルセデスには有利に働いた。その為、ハミルトンのレースペースの落ち込みは想 像以上に少なくすんだ。それでもアロンソに抜かれた場面ではトラクション不足が明らかで、アロンソを抑え込む事は不可能だった。

そもそも モントリオールのトラックはタイヤには厳しくない。だからこの結果をもってして、秘密のタイヤテストが彼らに有利に働いたという証拠にはならない。次のイ ギリスGPはタイヤに厳しいシルバーストーンで開催される。彼らのタイヤマネージメントが改善されたかどうかは次のシルバーストーンで明らかになるだろ う。

実は今、ハミルトンはブレーキのフィーリングに悩んでいる。どうしてもメルセデスのブレーキに慣れない。特にハードブレーキング時に 顕著に表れ、思いきって攻める事ができない。これはカナダのようなハードブレーキングの多いサーキットでは致命的である。それでも表彰台に乗るのだから、 彼の能力は計り知れない。

▽スイッチが入らなかったライコネン
今年のロータスは雨では実力が出せない。路面温度が低いとタイヤを適切な温度作動領域にあげる事ができない。これは彼らのマシンがタイヤへの攻撃性が低く、タイヤに優しいという事なのだが、雨ではそれが裏目に出てしまう。
では晴れた日曜日はどうだったかというと、このサーキットは低速コーナーしかなくタイヤへの入力が低いので、結局タイヤにスイッチが入らず、入賞こそしたもののトップ争いには絡めなかった。この後の2レースは気温が低くなる事も予想されるので、心配なロータスであった。

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