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ハミルトン 完勝の裏のトラブル

12f1ita2015-hz1559-s メルセデスのハミルトンはいつものように他を圧倒してイタリアGPを勝利した。チームメイトのロズベルグがリタイヤしたことにより、2人の差は52ポイント差に開いた。残りは7レース。ハミルトンが2回リタイヤしても追いつけない計算であり、よほどのトラブルがない限り今年のチャンピオン争いは終わったも同然である。 だがそのトラブルをレースの後のハミルトンを襲った。ハミルトンはスタート前の左リアタイヤの空気圧がピレリ指定の数値より0.3PSI、ロズベルグは1.1PSI低かったと指摘されたのだ。 もともとイタリアGPの前にピレリから空気圧を5PSI上げるように指示が来た。だがチーム側が5PSIも上げると車高が著しく高くなり危険と反対されて、最終的には1PSI上げることで妥協していた。だから今回、FIAは通常はしないレーススタート前の空気圧の測定をした。 最悪の場合、レース結果から除外される可能性もあったし、最大30秒のタイム加算ペナルティを受ける可能性もあった。その場合、ハミルトンは2位に25秒差つけていたので、2位になっていたかもしれない。 メルセデスがレース終盤、ハミルトンに飛ばすように指示していたのには、そういう理由があった。FIAはなぜかレースの終盤になって、メルセデスに空気圧の問題を伝えてきた。 だが最終的にはハミルトンはペナルティを受けずに、優勝を確定させた。 メルセデスは、当初の空気圧は下限値を上回っていたが、タイヤウォーマーを電源から切り離した後で、タイヤが冷えて空気圧が下がったと説明している。当然、この状況をピレリのメルセデス担当エンジニアは確認しており、ペナルティはなかった。 ちなみにこの時のフェラーリの空気圧は下限値を上回っていた。 これを受けて関係者は空気圧を計測する手順を明確にしなければならないと述べている。 ではハミルトンの空気圧が規定値に達していたら、これほどまでの大差で勝てなかっただろうか。恐らくほとんど変わりがない。 確かに空気圧を下げるとタイヤのグリップは増える。だがこの勝利は明らかにメルセデスのマシンが優れているのとハミルトンの能力のお陰である。だからペナルティなしだったのは、誰にとっても良かった思う。 レース中の空気圧も常時モニターされているが、レース中には異常がなかったのでペナルティが課されなかったと推測される。