F1 ニュース&コラム Passion

2013 Rd.13 シンガポールGP観戦ガイド



 【開催国概要】
開催国:シンガポール共和国
首都:シンガポール
地理:マレーシアに隣接するシンガポール島と周辺の島嶼を領土とする都市国家
人口:4,737千人(世界118位)
GDP:約18兆円(世界第44位)
公用語:英語、マレー語、中国語
通貨:シンガポールドル

【サーキット】
マリーナベイ・サーキット
距離:5.073km 周回数:61周 レース距離:309.316km
PP位置:コース右側
ラップ記録:1分44秒381(S. ベッテル 2011年)
ファステストラップ:1分45秒599(K. ライコネン 2008年)

2008年から開催された夜間に開催される、市街地を利用したサーキット。
数少ない左回りのレイアウトを持つ。
夜のレースなので気温は下がるが湿度は高いので、ドライバーにとっては体温が上昇し、厳しいレースとなる。路面のバンプも多く存在し、ドライビングを難しくする。
エスケープロードが少なく、一瞬のミスは即リタイヤを招く。
また戦略面を考えるエンジニアにとっても難しいサーキットでもある。

低速コーナーが多いため、平均スピードは200Km/hを下回り、レースは2時間近く続く耐久レースの様相も見せる。
コース幅がかなり狭い部分もあり、追い抜きは極めて難しい。
追い抜きのポイントは長い直線の後のターン7。
主なコース改修はターン10のシケインの撤去。ここは最も難しいシケインだったのでドライビングとタイヤに優しい方向に作用するだろう。
 【エンジン】
エンジンの全開率は45%と低いので、エンジンにとっての負荷は比較的低い。
サーキットは海抜が低く、気圧が高く空気密度も高いので、燃料消費量は多くストップ&ゴー型のレイアウトも更に燃料消費量をアップさせる。
約155Kgの燃料を搭載してスタートするが、これは平均的なサーキットより10kgも多い。その為、レース序盤ではタイヤに厳しくなる。
エンジンパワーの重要性は低く、メルセデス・ベンツ以外のエンジンにもチャンスがある。低速からの立ち上がりポイントが多いので、低回転域からトルクの出るルノー・エンジンは有利。

最高速度:305km/h(DRS ON)、290km/h(DRS OFF)
燃料消費量:2.26kg/ラップ
フューエル・エフェクト:0.37秒/10kg(高)

【シャシー】
最もブレーキに厳しいサーキットの一つ。
ビッグブレーキングのポイントはあまりないが、ブレーキングする場所が連続し、冷却する時間が少ない。温度が上限値以上に上昇するとディスクは急速に劣化するので、効率的なブレーキのクーリングを実施しないと、耐久性が問題となる。
路面に凸凹した部分が多く、優れたサスペンションを持つマシンはアドバンテージがある。減速と加速を繰り返すので、トラクション性能に優れたメルセデスは有利。
低速コーナーが多いので、各マシンはドラッグを無視して、最大限のダウンフォースをつける。
路面がパンピーであり車高を上げて走るので、空力的に優れたマシンより、メカニカルな部分が優れたマシンが有利。

空力セットアップ:ハイダウンフォース
ブレーキング比率:21%/LAP
ブレーキングゾーン:16カ所
ブレーキウェア:高

【DRS】
DRSゾーンは2カ所設置される。
第1検知ポイントはターン4。
ターン5の出口からDRSの動作が可能。
第2検知ポイントはターン22の直前。
最終コーナー立ち上がりからDRSが稼働できる。
ただし、DRSがあってもなくても追い抜きは難しいだろう。

【タイヤ】
ピレリはスーパーソフトとミディアム・タイヤを持ち込む。
この組み合わせはハンガリーGPで構造を変更してからは初めてとなる。
市街地コースであり路面はスムーズで、タイヤには厳しくない。
普段使われていないサーキットであり路面のラバーが1周毎にのってきて、ラップタイムが向上するので、予選では各セッション、最後のアタックが非常に重要。
気温は高いが夜のレースなので、直射日光がなく、路面温度は気温とほぼ同じか、
それ以下になる可能性もある。

【ピット戦略】
路面は比較的優しく、またタイヤ選択も保守的なので上位勢は2ストップが多いと予想される。
ピット走行速度が60km/hと遅く、ロスタイムが長いのでタイヤ交換の数はできるだけ少なくしたい。
低速からの加速が多くリアタイヤの扱いには注意が必要で、リアタイヤを痛めると致命的。また高温からくる熱だれが発生するとタイヤパフォーマンスが落ちるので要注意。
総合的なタイムとポジションにより作戦は変化する。
ストップ時間は、26秒+静止時間(約3秒)。
ロスタイムが長いのでストップ回数は少ない方が好ましい。
タイヤ交換時期はスーパーソフトでスタートすると、17周目でミディアム、39周目でミディアムに交換するのがベストと予想される。
セーフティカーが登場すると、作戦が変更を迫られるので、臨機応変な対応が求められる。

【セーフティカー】
セーフティカーは毎年登場し、在周回数(過去平均6.7周)も長いので、SC込みの作戦が必要となる。5周から6周、セーフティカーが展開するとタイヤ交換を一回減らすことも可能になる。

【天気予報】
週末の天気予報では、気温は高く約31度。
雨の可能性もあるが、走行前の夕方であることが多く、レースに大きな影響は与えないだろう。ただしシャワーは日常的であり、準備を怠ることはできない。

【レース展望】
予選では低速サーキットで強さを見せるメルセデスが有利。
レースではベッテルが挑戦する構図。
ダークホースはロータスとフェラーリ、そしてフォースインディア。
彼らはタイヤに優しいのでスタート順位次第で、レースをおもしろくしてくれる。
予選とスタートが非常に重要で、ドライバーの集中力が勝負を決める。
レース中の追い越しは困難なので、予選で失敗すると勝利は望めない。

過去の記録はベッテルが過去2年間2連勝しており、アロンソも2勝している。
ハミルトンは1勝しており、昨年もポールポジションだった。

【過去4年間の優勝者】
2008 F・アロンソ<ルノー>
2009 L・ハミルトン<マクラーレン>
2010 F・アロンソ<フェラーリ>
2011 S・ベッテル<レッドブル>
2012 S・ベッテル<レッドブル

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください