F1新シーズンに向け、ルール改定
さて、新年も明けてGP開幕まで2ヶ月足らずとなった。
今回は、今年大きく変わったレギュレーションを紹介しながら、シーズンを占ってみよう。
▽タイヤサプライヤーはブリヂストンのみ
今年からブリヂストンだけがタイヤを供給する。
一つのGPで14セットのドライタイヤを提供するが、使用方法は今年と若干異なる。
金曜日に使用できるのは4セットで、残り10セットを土曜日と日曜日で使うことができる。
また、ブリヂストンはハードとソフトの2種類のタイヤを供給すると見られるが、ソフトとハードのタイヤをレース中に一度は使用しなければならないルールも検討中だ。
要するにレース中に二種類のタイヤを使用することを義務づけるルールだが、まだ決まってはいない。
しかも、ソフトタイヤには一見してわかるように、サイドウォールに色をつけるアイディアもある。
だが興味深い二つのルールは今年に関しては、もう時間がないので見送られる公算が高い。
ブリヂストンが唯一のタイヤサプライヤーになることに対して、いろいろな意見がある。
多くは今までブリヂストンタイヤを使用してきたフェラーリが有利だという意見だ。
だが、私はこれには同意しない。
来シーズン、ブリヂストンが供給するタイヤは今年供給したタイヤと異なることが予想される。
FIAからはタイヤグリップを削減するように要請されており、実際のグリップも下がっているようだ。
そうなると一概にフェラーリが有利とは言えなくなる。
今までブリヂストンはフェラーリに合わせたタイヤを開発していた。
今回の変更で、フェラーリはスペシャルなタイヤを供給されていたアドバンテージを失うことによるデメリットの方が大きいと思う。
これはブリヂストンに限らず、ミシュランもそうだったが、昨年まではマシンに合わせてタイヤを開発してもらうことも可能だった。
しかし、今年はマシンをタイヤに合わせなければならない。
そうなると2006年にブリヂストンタイヤを使用していたから有利とか不利とかは一概に言えないだろう。
サスペンションを含めたシャシー側の設計、開発、セットアップ能力の差がはっきりと出てくると思う。
そうなるとやはりルノー、フェラーリ、マクレーレンなどのビッグチームが有利なのはいつもの年と同じ事になる。
▽任意のテスト制限
2008年から導入が予定されていたテスト日数が2007年より前倒しで導入される。
これは全チームが同意した、任意の協定だ。
この協定では、各チームともテスト距離が年間3万kmに制限される。
ちなみにルノーの昨年の年間合計テスト走行距離は5万kmと言われている。
もっともこの協定は強制力がないので、どこかのチームが破れば有名無実になる可能性も大きい。
▽エンジン開発凍結
2007年の大きな変化は、開発したエンジンの投入ができなくなることと回転数が制限されることだ。
1エンジンで2レースというのには変化がない。
エンジンの回転数は1万9,000回転が上限となる。
2007年に使用できるエンジンは、基本的に2006年の最後の2GPを完走したエンジン。
中国GPと日本GP、もしくは日本GPとブラジルGPの2レースを走ったV8エンジンが基本となる。
ただ、これらのエンジンは回転数無制限の状態で開発されたので、1万9,000回転に合わせた調整はできる。
昨年までは回転数を上げてパワー稼いだいたが、これからは開発の質が変わってくる。
回転数を上げることができなくなる2007年は、中低速のトルクを太くし、ドライバビリティを向上させることに開発の主眼が置かれるだろう。
これまでは、回転数を上げることにより、低い回転数でのトルクの落ち込みが激しかったので、ドライバーにとっては朗報かもしれない。
ちなみに、この認定されたエンジンだがまったく修正できないわけではないらしい。
重大なトラブルに結びつくとFIAに認定された場合、パーツを交換することが可能になる。
これは物議を醸し出すレギュレーションのような気がする。
どれを認定して、どれを認定しないかはFIAのさじ加減一つ。
恣意的な運用がされないことを望む。
▽エンジン使用法
エンジンの使用方法も少し変更される。
2007年も2レースごとに1基のエンジンを使用するという方式は継続される。
ただ、このルールから金曜日は除かれる。
よって金曜日はフレッシュエンジンを使用し、土曜日と日曜日は使用済みのエンジンで走ることになる。
▽金曜日
レースウイークの金曜日に関して2006年、各1時間にわたって、おこなわれた2つのセッションは、各90分に延長される。
金曜日に関してはフレッシュエンジンが使えるし、タイヤも4セット使えて、時間も延びるので走行距離も伸びるだろう。
これは金曜日から観戦に行く、熱心なファンには朗報だ。
金曜日に、下位チームに認められていた3台目のマシンを走らせることはできなくなる。
走らせることのできるマシンは2台のみ。
サード・ドライバーを走らせることは可能だが、その場合はレギュラードライバーのどちらかと交代するかたちとなる。
レースに向けて、レギュラードライバーは走り込み、セットアップしたいはずなので、サード・ドライバーが金曜日に走る可能性は限りなく低くなった。
▽その他
ペナルティは、タイム加算ペナルティが復活する。
これは後から、チームが抗議して取り消しを求めることができるのでいいのではないだろうか。
今のピットスルーペナルティだと後から取り消しを求めることが事実上不可能だからだ。
ただ、ピットスルーペナルティは見ている方からすれば、わかりやすいメリットはある。
ドライバーにコース上の危険を知らせるため、コックピットへのGPS(衛星利用測位システム)マーシャリングシステムの導入される。
詳細は不明だが、どこにマシンが止まっていて危険なのか、イエローフラッグ区間などがわかるシステムなのだろう。
以上が変更点の概要だ。
やはり影響がもっとも大きいのはタイヤだろう。
エンジンは制限事項が多くなってきたので、エンジン単体で大きなアドバンテージを得ることは難しくなってきた。
いかに新しいブリヂストンタイヤを使いこなせるかが、大きなポイントとなる。
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