空気圧とキャンバー角の制限に苦しむライコネン
ライコネンが予選で苦しんでいる。インドGPでも速いソフトタイヤを履いたにも関わらず予選6位。アロンソがミディアムタイヤでアタックしなければ7位になっていた。
その理由は以前にも書いたがフロントタイヤのグリップ不足。
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というのもシーズン中盤にタイヤの問題が発生して以降、タイヤの空気圧とキャンバー角を厳しく制限するようにしたことが、彼の問題を深刻にしている。シーズン当初、ピレリは推奨するタイヤ空気圧とキャンバー角の範囲を提示していたが、強制はしていなかった。だがタイヤに問題が起こって以降は、ピレリの要請を受けFIAが厳しく制限している。
ではこれがなぜ問題になるかというと、この空気圧とキャンバー角はセッティングにおいて基本的だが重要な役割がある。通常空気圧を下げるとタイヤのグリップが上がる。だからF1チームは推奨範囲の下限近くにセットしてくることが多い。さらに下限を下回る空気圧にしてくるチームも少なくない。もちろん推奨範囲を外れたからといってすぐにタイヤが壊れることはない。だが安全性のマージンが少ないピレリタイヤは非常に敏感になっている。
タイヤはゴムでできているというのは半分正解で半分間違いである。タイヤは枠の上にゴムを塗って、中に空気を入れて初めて性能を発揮する。空気なしのタイヤはタイヤではない。その空気を少なくするとタイヤの構造を支えられなくなり、最悪バーストする。だからタイヤメーカーは空気圧を制限する。これは市販車もレーシングカーも同じである。空気が少ないということは、タイヤの性能に悪影響を及ぼす。ただグリップは上がるのでタイムは良くなる。だからタイヤメーカーは高めに指示するし、チームは低めに設定する。
フロントタイヤの食いつき具合に違和感を抱えるライコネンは空気圧を減らし、キャンバー角を変更して調整したいのだが、それは推奨範囲を超えるので、できない。ライコネンの予選での苦戦はシーズン終了まで続きそうである。
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