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2005 F-1 Rd1 オーストラリアGP観戦記

▽フィジケラのパーフェクト・ウィン

いよいよ2005年のシーズンが開幕した。例年以上に大きなレギュレーション改定がおこなわれたので、その影響をこのGPで確認したかったのだが……..。

最初にフィジケラの素晴らしいドライビングをほめたたえよう。フィジケラが予選一回目で幸運に恵まれたことは間違いない。時間が経つにつれて路面はどんどんと乾いてきた。ただまだ少し濡れた路面が残るコースをミスなくアタックした彼のドライビングは見事。
彼のポールポジション獲得は単なるラッキーだけではない。
素晴らしいスタートも決め、レース中も2位とのギャップをコントロールしな がらのパーフェクト・ウィン。燃料補給のピットインを除いては一度もトップを 譲ることなく走りきった。 前回も豪雨の中で混戦を制しての優勝で、今回も予選の混戦を利用しての優 勝。彼の完璧な勝利を祝福したい。 ▽タイヤ戦争 今回、ブリヂストンとミシュランのパフォーマンスはほぼ互角。昨シーズンの フェラーリ独走の主な原因はタイヤの差だとすると、フェラーリは旧型車では厳 しくなるだろう。 昨年のブリヂストンはロングラン性能でミシュランを圧倒。フェラーリは2回 ストップでも3回ストップでも4回ストップでもよりどりみどりの作戦がとれたが 今年はそうはいかない。少なくともミシュランが今後も同じ様な性能を見せてく れれば、昨シーズンのようなフェラーリ独走はない。ミシュランはウェット性能 も上げてきたようなので、今年のタイヤ戦争は面白そうだ。 心配されたレース開始時と終盤でのラップタイムの差はほとんどなし。ラバー グリップのお陰もあり、終盤でのタイムの落ちは見られなかった。絶対的なタイ ムは昨シーズンより落ちているが、このタイヤの持久性は凄い。 次戦、暑いマレーシアでどちらがいいパフォーマンスを見せるかが今シーズン の分かれ目となりそうだ。 ただこうなると厳しいのはブリヂストン陣営。勝てる駒がフェラーリしかない のがつらい。ミシュラン陣営は一チームがこけても他のチームがいるが、フェラ ーリ一本頼りのブリヂストンはフェラーリがこければみなこけてしまう。 ポイントが集中するという意味で、チャンピオン争いはフェラーリ優位は動か ないがそれも新しいマシン頼み。フェラーリは予定より早く、ニューマシン投入 を考えざるを得ないのではないかな。 ▽レギュレーション改定の影響 スピードの抑制を目標とした今回のレギュレーション改定だったが今年のアロ ンソのファーステストタイムと昨年の予選タイムはほぼ同じ。結果的にはチーム やエンジン、タイヤメーカーの開発力が上待った格好だ。もちろん改訂がなけれ ば昨シーズンより速くなっているは間違いないので、一定の効果はあったが、予 想よりははるかに速かった。 ▽今シーズンの展望 今回のGPは予選一回目でコンディションが目まぐるしく変わり、タイム差が 1秒以上開くマシンが続出。その為、二回目の予選は興味がそがれる結果となっ た。 特に予選一回目のコンディションが激しく変わったことにより、今シーズンの 今後を占うことが難しくなってしまった。予選二回目と決勝レースという限られ た部分を見て今シーズンの流れを予想してみよう。 良さそうなチーム ルノー、マクラーレン 良くなさそうなチーム ウィリアムズ、トヨタ よくわからないチーム フェラーリ、BAR シーズン前のテストで好調を伝えられていたルノーとマクラーレンが良い走り を見せた。マクラーレンの予選での走りを見ていると、とてもスムーズで修正が 少なく、素性の良さを見せた。路面状況が良くなかったので前方のグリッドを得 ることができず、決勝レースではその遅れを取り返すことが出来なかったが今後 は期待できそう。 ルノーはアロンソの走りも凄かった。彼は悪い予選順位と序盤にビルニューブ に押さえられる不運があったが、それでもトップと僅差の3位に入賞した。ファ ーステストタイムもマークし、今回誰よりも光る走りを見せてくれた。 もう少し前の順位からスタートしていれば優勝も可能な走りだった。 ウィリアムズはマシンが跳ねていて路面への追従性が良くない。こうなると低 速コーナーでのトラクションも期待できないので今のままでは高速サーキット以 外では厳しそう。レース後半に失速したのはこれが影響して、タイヤのたれが早 かったからではないだろうか。 個人的にはウィリアムズの二人のドライバーに注目している。ウィリアムズは 猛烈に開発して、今のマシンもそれなりに走れるマシンにしてくるだろうが、そ れまでにどこかのチームが抜け出すとチャンピオンを狙うのは難しくなる。 同じなのがトヨタ。序盤はフィジケラと同じペースで走れていたトヨタだが、 後半失速し入賞圏外へ。タイヤへ厳しいマシンだとしたら今シーズンは難しい戦 いになりそう。ツゥルーリが序盤に見せたスピードが本物か、マレーシアGPを見 てみたい。 フェラーリとBARは予選順位がよくなかったので今回の結果だけでは、よくわ からない。フェラーリはバリチェロが2位に入ったが、ミハエルには厳しい戦い となった。ミハエルといえども今年のレギュレーション下では、パッシングは難 しそうだ。 BARのバトンと佐藤琢磨は後方に沈んでしまった。今回の結果が予選順位が悪 くパッシングができずに遅い車のペースに合わせたのか、それとも本当に遅いの か?それを判断するのは次のマレーシアGPを見てみたい。ただ琢磨はともかく、 バトンの予選順位がそんなに悪くなかったことを考えると今年は苦戦しそうか。 クルサードは素晴らしい走りを見せた。アロンソが驚異的な巻き返しで3位に 来なければ、クルサードの表彰台は間違いなかった。得意のオーストラリアでレ ッドブルに大きなお土産をゲット。クリエンも入賞をはたし、レッドブルにとっ ては盆と正月が一度に来たような感じだろう。ただ今回は一度目の予選で好位置 につけられたのが大きかった。実際のレース展開を見ると速さに問題がありそう なので今後は厳しい戦いが予想される。 今回は予選一回目が荒れたことによりマシンの本当の速さを見ることが出来な かった。次戦、マレーシアGPで今シーズンを占うこととしよう。 【編集後記】 いよいよ今シーズンが開幕しました予選が大荒れとなり、おもしろいレースとな りました。レギュレーションが変わっても、相変わらずパッシングシーンは増え なかったですね。メルボルン自体が追い抜きが難しいサーキットなので、全てが 新レギュレーションの影響ではないとは思いますが、エキサイティングなレース を見たいですね。

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