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鈴木亜久里の志

鈴木亜久里がスーパーアグリ フォーミュラーワン チームを結成し、F1への参戦を表明してから2ヶ月が過ぎた。 彼の行動を無計画で、成功はおぼつかないとか、今時オールジャパンチームを目指すなんて時代錯誤だなどという声をちらほら聞く。 実は私自身も最初にスーパーアグリのF1参戦を聞いたときには、まったく同じ事を思った。 11月から準備しても、開幕戦には間に合わないし、たとえ開幕戦に間に合ったとしても、最下位だろう。 大昔ならDFVエンジンを買って、数ヶ月でシャシーを用意して参戦可能だった。 だが今はトヨタが大金をつぎ込んで、1年前から準備しても結果が残せない厳しい世界。 ホンダエンジンがあるとはいえ、無茶なことをするもんだと感じた。 1年待ってもいいのではないかと。 さらに一人目のドライバーとして佐藤琢磨はいいとしても、二人目のドライバーまで日本人にするのは時代に逆行するのではないかとも思った。 しかし、鈴木亜久里氏は動いた。 当然、彼も同じ事を考えたことだろう。 準備不足は十分承知の上。 ただ、いつまで待っても完璧な体制などというのはできるわけがない。 であれば来年ではなく今年から参戦しても同じではないかと考えたはずだ。 実際彼も準備不足はわかっていたが、骨格が固まった時点でゴーサインを出したことを認めている。 一部、報道ではスーパーアグリはホンダが佐藤琢磨のシートを作り出す為に作らせたチームではないかと言われている。 だがこれは事実とは異なる。 鈴木亜久里は佐藤琢磨とは別にF1参戦計画を進めていた。 たまたま、亜久里がチーム立ち上げ時に佐藤琢磨がシートを失っただけなのだ。 彼は日本でARTAというレーシングチームを運営している。 彼の目標は世界で通用する、日本人F1ドライバーを生み出すこと。 ARTAは決してF1ドライバーを育てる組織ではないと鈴木亜久里は断言している。 F1ドライバを育てる事はできないと彼は言う。 F1ドライバーになるのを手助けするだけだと。 しかし、F1ドライバーのシートはたったの22個。 どんなに優れていてもF1のシートを得るには、ずば抜けた才能かお金がいるのが現実。 であれば、自分でF1チームを作りドライバーのシートを二つ作ればいいじゃないかと発想したのだ。 普通は持参金をつんで、既存のシートに日本人を押し込む方が楽だ。 普通の人間なら迷わずそうするだろう。 だが彼は違った。 自分でチームを作る方法を選んだ。 これはお金でシートを買う方法よりも、はるかに困難な道だ。 でも鈴木亜久里は最も困難な道を選んだ。 彼はARTAを運営していおり十分な収入がある。 F1をやらなくても悠々暮らしていける。 しかし、あえてリスクの高いF1参戦を選んだ。 日本人ドライバーを生み出す為に。 その高い志に大きな拍手を送りたい。 批判することは簡単である。 ここまで日本のレース界を考えて、行動する男が他にいるだろうか。 その高い志に心を動かされて、ホンダも支援に動いたのだろうし、ブリヂストンもそうであろう。 だから私は、開幕戦に2台のスーパーアグリのF1マシンがグリッドに着くことを夢見る。 完走してくれなんて言わないし、予選通過が最下位でもいい。 高い志が形になるとき、F1界をより良い方向へ動かす力になっていくと信じている。 困難は多くとも、がんばれ鈴木亜久里。 みんな応援しているよ。

5 thoughts on “鈴木亜久里の志

  1. s.nakagawa

    拝啓、貴殿のコラムを読ませて頂き私が抱いていた「スーパーアグリF1チーム」の思いを一変させて頂きました。
    「ホンダのバックアップもあるのでF1へ一丁出てみるか」的に思いつきで参戦する感じで思っていました。
    私は、52歳で小学校前から自動車に興味を持ち雑誌「ボーイズライフ」等でカーレースを知りFI、F2、CANNAM等の記事を一文字、一文字読んで憧れていたオジンです。
    今日(3月19日)のマレーシアGPは大いに興味を持って
    観戦いたします。有難うございました。敬具

  2. 仙太郎

    中川さん、コメントありがとうございます。
    私よりベテランの方ですね。
    CANNAMとは相当古い。
    鈴木亜久里さんは、結構誤解されやすいタイプだと思います。有言実行なので彼の言動が曲解されることも多いと思いますが、彼が今回、行動をおこしたこと自体がすごいと思うんです。普通だったら絶対にできないと思います。だからこそ彼の行動に否定的なコメントが多いことを憂慮してこのコラムを書かせてもらいました。

  3. ~京都な旋盤日記~

    Dreams Come True

    チーム本拠地は日本

    オーナーは日本人

    日本製の車体で日本製のエンジンとタイヤ

    2人のドライバーは日本人

    スポンサーは日本企業

    F-1と言う世界に
    純日本チームがフルエントリーする

     鈴木亜久里氏に関する記事が書かれています(必読

  4. えど

    「やれるかどうか?」を試算する人間は結構いると思う。そして十分過ぎるくらいの見込みがあれば、やろうとする人間も結構いると思います。
    でもスーパーアグリは「やれる/やれない」以前の段階から「やる!」と決めて行動を起こした感があります。引かれたレールがあったから行動したわけじゃない。ともかく目指すべき目標だけ設定して、ともかくそれに向けてレールを引きながら走った気がします。
    いくら鈴木亜久里がそれなりに稼いでいて、大企業のバックアップも受けていても、それでもF1に参戦するには膨大な資金(少なくとも140億円位?)と気の遠くなるような調整手続きが必要になりますよね。彼は本当にそれを自らが奔走してかき集めたようですね。勿論支援してくれるスタッフも間違いなくいましたが、それでも本当に身を削るような「仕事」を彼個人もかなりしたと思います。
    彼が金持ちで、レース界にコネがあるから出来た事じゃないと思います。彼の志と情熱が、多くの支援者の心を動かしたから彼を支える存在が多数現れバックアップしてくれたのだと思います。皮算用をする前にともかく行動を起こす。これは誰にでも出来る事じゃないです。

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