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シートを得たコバライネンと可夢偉の違い

コバライネンは残り2レースを欠場するライコネンの代わりにレースに参加する。彼はどうしてこのような幸運を引き寄せられたのであろうか。可夢偉とコバライネンとの違いはどこにあったのであろうか。 今回、コバライネンはライコネンの後任としてロータスをドライブすることになったのだが、コバライネンが今年フリー走行を経験していることが一番の要因になった。彼は今年フリー走行を6回走った経験があり、今年のマシンとタイヤを理解していることが重要であった。 残念ながら可夢偉にはこの経験が欠けていて、噂にもならなかった。彼は今年、どこのチームとも契約を結べるようにフリーの立場にあったのであるが、こういうチャンスの時に押し込めないのであれば、フリーの立場とは何かを考えさせられる。彼はフェラーリのF1チームとは契約していないので、F1に関してはどこと契約しても問題はない。 コバライネンは当然、ケータハムの契約下にあるが、短期間でこれを解除する交渉をして、ロータスとの契約をまとめた。ロータスはコバライネン以外にも、ヒュルケンベルグやシューマッハーにも声をかけていた。実際にコバライネンに話があったのは火曜日の夕方であり、コバライネンが第一の選択肢でなかったことがわかる。だから彼らが断った幸運もあった。 これらのことを考えると、可夢偉が日本GPで話した現場にはいないけど、チームのトップレベルの人は認めてくれているという話は苦しい。結局、F1は現場にいないとすぐに忘れ去られる。残念ながら可夢偉が2013年に現場を離れることを選択したことは、正しかったのか不明である。 もっとも可夢偉がどこかのリザーブドライバーであっても、今回ロータスを運転できたかどうかは、わからない。そこにはドライバー以外のマネージャー達の活躍もある。そもそも今ある契約を捨ててまで他に移ろうとする意欲は、我々日本人にはなかなか理解できない。義理や人情に引っ張られていては、F1では成功するのが難しい。かつてミハエル・シューマッハーはデビューしたジョーダンをわずか1レースで見限り、ベネトンへ移籍した。彼のジョーダンでのレースは1周もできずに終わったのにである。果たして可夢偉がF1の現場にいても、そこまで踏み切れたかどうかはわからない。 もっとも今回、好結果を残しても来年のシートが確約されるわけでもない。だから今回のコバライネンの行動がいいのか悪いのかは、判断できない。だが自分から動かない限り幸運は訪れないし、チャンスはつかめない。残念ながらそれが今回の結論である。

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