2006年シーズン開幕直前 シーズンを占う
いよいよ待ちに待ったF1 2006年シーズン開幕は4日後だ。
今年の開幕戦は例年のオーストラリアと違い、灼熱のバーレーンから始まる。
エンジンルールの改正など大きなレギュレーション変更があった今シーズンを占ってみよう。
▽エンジン
何よりも今年の注目点はエンジンのレギュレーション変更だろう。
長年3リッターV10だったエンジンが、2.4リッターのV8へと変わった。
こうしてみると10気筒が単純に8気筒になり、その分の排気量が少なくなっただけのように見えるが実は違う。
エンジンの材質、シリンダー間の距離や重心位置にも制限がかかるようになった。
昨年までのV10エンジンは驚くほどコンパクトで重心が低かった。
3000ccの10気筒エンジンとは思えないくらい、小さく低かった。
今回はレギュレーションで規制されるとはいえ、それでもV8エンジンはV10より小さい。
エンジンのパワーも当然、落ちている。
だがエンジンパワーは落ちているが、それによりラジエーターの容積も小さくてもすみ、直線スピードの減少は少ない。
さらにエンジンが小さくなった分、コーナーリングスピードは速くなりそうである。
ただ、ここで一つ心配なことがある。
それはエンジンの重心高である。
エンジンはご存じのように複雑な形をしている。
どこをどう計って重心とするのだろうか。
昨年、ホンダが釈然としないレギュレーションの解釈で、燃料タンク構造の問題で失格になった事件はまだ記憶に新しい。
また新たな被害者がでなければいいが。
▽シャシー
シャシーやエアロダイナミクスには大きな変更がなかった。
だたV8エンジンに変更になったのにともない、エンジンの全長が短くなった長さの処理が興味深い。
ルノーはホイールベースをほとんど変えてこなかった。
これは昨年の空力性能が良かったので、そのデータを継続して使いたかったから。
ホイールベースを短くしているチームが意外に少ないのは、それが多くの理由だろう。
マクレーレンはV8で余裕のできた、エンジン周りの絞りをさらに過激にしてきた。
だたV8化にともないエンジン熱量に余裕ができたとはいえ、排熱性に問題はないのだろうか?
フロント・サスペンションはロア・アームをシャシーへ直付けして空力性のを追い求めるところや、Vキールと言ってサスペンションの取り付け用のステーをV型に延ばし、そこにサスペンション・アームを取り付けてサスペンションのジオメトリーとの両立狙ったところが大半である。
なぜかフェラーリだけ空理的には不利と見られるシングルキールを採用してきた。
サスペンションの設定自体には有利な方式だが、マクレーレンがアームの直付けとサスペンションの両立をしてきたことを思えば、少し消極的なような気がする。
▽予選
以前にも一度話したが、今年の予選方式はわかりにくい。
多分、シーズン途中で変更になるだろう。
あまりにもわかりにくくて。
ではそのわかりにくい予選方式をわかりやすく話そう。
最初の15分間全車が走行を行った結果、最もタイムの遅い6台がふるい落とされ、この6台の予選順位が17位から22位で確定する
再び15分間のセッションを行い、ここでも下から6台がふるい落とされて、この6台も11位から16位までの予選順位が確定する。
残った10台が最後の20分間のセッションに進むというものだ。
最初の二つのセッションで脱落したマシンはタイヤ交換や燃料補給が許される。
最後の10台は決勝用の燃料とタイヤを装着して、アタックする。
以前のような、全車同時かシングルラップのアタックした方が一般のファンにはわかりやすいと思うのだが。
▽シーズン予想
開幕戦前に予想戦してみよう。
テストを見ている限り、好調なのはルノー。
昨シーズンの好調をそのまま持続しているかのようだ。
エンジンもすごいパワーがあるわけではないのだが、競争力があり、しかも昨年のように耐久性も問題なし。
ドライバーにワールドチャンピオンのアロンソを抱えるルノーが昨年のように、スタートダッシュを決めると二連覇の可能性は大きくなる。
次に良いのがホンダ。
V8エンジンの経験も豊富なホンダはパワーと信頼性の両方で一歩リードしている。
心配されるシャシーの方も今年は良さそうだ。
ただタイヤの持続性はルノーの劣るようだが、今年はタイヤ交換が認められているので、影響は限定的だろう。
得意な高速サーキットでは、悲願の1勝が上がられると予想しておこう。
同じく日本勢のトヨタも好調をキープしている。
しかも開幕戦へは別の空力パッケージを持ち込むらしい。
要するに手の内を隠しているのだ。
それでも好調なタイムをコンスタントに出している。
今年から変更したブリヂストンタイヤとのマッチングもうまく調整しているようだ。
ただ勝つのは上位陣に何かない限り難しいかもしれない。
一方、いいのか悪いのか判断がつきづらいのがフェラーリ。
マシンが昨年からの進化型のような印象を受ける。
昨年の不振はマシンではなく、タイヤが原因だったと判断したのか。
予想外のいいのがウィリアムズ。
コスワースエンジンに変更し、戦闘力の低下が懸念されたが意外といいタイムを出している。
V8の経験豊富なコスワースエンジンなかなり回っているようだし、信頼性もある。
ただ問題はここからワークスエンジンを上回る開発ができるかが勝負。
ウィリアムズ自体は例年、シーズン後半に向かい調子を上げてくるのでエンジンさえ競争力があれば面白い。
マクラーレンは1月のテストでメルセデスのV8エンジンに競争力がないことがわかり、かなり危険な状況だったが、ようやく2月のテストでエンジンを大幅にバージョンアップ。
速いラップタイムをマークするようになった。
マシン自体にはポテンシャルがあるようなので、ここはやはりエンジンの耐久性が問題になるだろう。
最後にスーパーアグリF1に触れておこう。
シーズン中盤までは予選最下位が指定席だろう。
ニューマシンが出てくる終盤に向けて、どこまでミッドランドとの差を詰められるかが勝負。
今年は学習の年、結果は期待しないでおこう。
全ては来年の為に。
- スーパーアグリ ニューカラーリングを披露
- 2006 Rd.1 バーレーンGP観戦記
御無沙汰いたしております。今シーズンもいよいよ開幕しましたね。
わかりにくいと思われていた予選も、これはこれでけっこう戦略があるため、おもしろかったです。
そして、ミハエルの復活を素直に歓迎し、しかしミハエルのお株を奪うピット戦略で勝利したアロンソに拍手です。
最後尾から3位というライコネンも、昨年の鈴鹿を思い出すようなレースでした。
しかし、前評判の割にホンダが振るわず、バトンもあと一歩、残念でしたね。トヨタも前評判が高かったのに、今回はタイヤとのマッチングでしょうか、なんだか後ろのほうで埋もれてしまっていましたね。
スーパーアグリはあんなものでしょう。1台だけでも完走できたので、よかったと思います。
でもまだ、今年の結果を語るには早すぎますよね。まだまだ各チームとも、バージョンアップして、セッティングも詰めてくるでしょうから、楽しみです。