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ウェバー 引退の理由にチームのベッテル優先があった

red-vett-mark-yasm-2013-11-886x590 2013年シーズンを最後にF1キャリアに終止符を打ったオーストラリア人 マーク・ウェバー。彼は引退を決めた理由の一つにベッテルを優先するチームの姿勢があったことを認めた。 マーク・ウェバーは引退を決めたきっかけの一つがセバスチャン・ベッテルの存在であることを認めた。 例えば2012年のイギリスGPにチームは新しいフロントウィングを2つ持ち込み2人のドライバーに装着させた。そのウィングをベッテルはフリー走行でこわした時、ウェバーのフロントウィングをベッテルに載せ替えたし、2013年のマレーシアGPでベッテルがチームオーダーを無視した際も、最終的には何のペナルティもなかった。 だがそれはF1の世界ではごく当たり前の話である。F1のチャンピオン争いは激しく厳しい。年間20戦近くを戦いながら最後は数ポイントの差で決まることも珍しくない。またほぼ隔週でレースがあり、常に新しいパーツを投入し続けるF1の世界では、最新のパーツが一つしか無いことも良くある話で、そうするとこのパーツを2人のドライバーのうちどちらに使わせるかという話に必ずなる。 F1の世界では速いドライバーが偉い。そこには人格的な良さや、人間的な良し悪しはまったく入り込む余地はない。そこは残酷なまでに個人スポーツの側面をもっている。ドライバーは口ではチームのために戦うとは言うが、本音では自分の為に戦っている。自分が好成績をあげることが、チームにもいいことだという論理である。 またF1チームは勝つことを目標に、チャンピオンになることを目標に数百億円を賭けて戦っている。だから速いドライバーに全ての力を注ぎ込む。これは当たり前の話である。勝てる確率の高いドライバーに力を入れた方が投資の効率はいい。 これはかつてミハエル・シューマッハーがそうだったし、アロンソも同じ考えをもっている。チャンピオンになれる可能性が高い方を優先するのは、理にかなっている。それに年齢的にいってもチームの未来はベッテルと共にあるのは明白である。 それでもマーク・ウェバーは幸せなドライバーであると思う。ほとんどのドライバーは勝てるマシンに乗ることなく、F1から去って行く。少なくとも彼は歴史に残る最速マシンでレースを戦うことができた。それは貴重な経験なのである。もちろんドライバーである以上、一番を目指すのは当然である。だがF1の世界で真の一番はたったの1人だけである。それを考えると9勝をあげた彼の力は見事であるし、素晴らしい才能であったのは間違いがない。 最後に今年のマーク・ウェバーの成功を願いながら、このコラムを締めくくりたい。

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