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怒りのベッテルの行動は正しかったのか

問題が起こったのはセーフティカー中であった。コーナーの立ち上がりでハミルトンがスピードを落とす。立ち上がりでハミルトンが加速すると予測したベッテルが加速すると減速したハミルトンのリアに衝突してしまった。この時ベッテルはハミルトンが故意にブレーキをかけたと判断し、ハミルトンのサイドに並ぶとハミルトンのマシンに体当たりをした。

この後、ベッテルはこの行為に対してレース中のペナルティとしては失格についで厳しい10秒ストップペナルティを課せられた。だがさハミルトンはヘッドレストが浮き上がり緊急ピットインを強いられたので、ベッテルはなんとハミルトンの前でコースに復帰。チャンピオンシップだけ考えるとこのペナルティはまったく効果がなかった。

ではベッテルがいうようにハミルトンは故意にブレーキをかけてベッテルを陥れようとしたのだろうか。この答えは簡単である。ハミルトンが故意にブレーキをかけたという事実はない。スチュワードはメルセデスから提出されたテレメトリーのデータを当然見た。そこにはブレーキをかけた値は記載されていなかった。もちろん減速したのであるからハミルトンがアクセルを緩めているのは当然である。

問題はハミルトンが故意にベッテルを困らせる為にそういうことをしたのかということである。この時、セーフティカーはこの周でピットに戻る予定で、上部のライトを消していた。この状態だと隊列のペースを決定する権利はトップを走るドライバーが持つことになっている。ライトが点灯しているときは当然セーフティカーがペースを決める。

だからこの時、ペースを決めるのはハミルトンであった。当然タイヤを温めたり、後続とのマシンの差をキープしたいのでペースを上下させることは誰でもやる普通のことである。だが恐らくこの時ベッテルは2位だったのでセーフティカーのライトが消灯されていることに気がついていなかった。そして恐らく無線で指示もなかった。ハミルトンがペースの決定権を持っているのを知らないベッテルがハミルトンに離されまいとして、接近し接触したというのが真相である。

ハミルトンのヘッドレストが緩まずに優勝していれば、これは深刻な問題にはならなかったとは思うが、ペナルティを課されたベッテルの後ろでフィニッシュしたのではハミルトンは納得がいかない。ベッテルは壊れたフロントウィングを赤旗中断中に新品に交換したが、ディヒューザーが損傷したハミルトンは応急修理はしたが完全な状態でなかったことも問題であっただろう。

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