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2017年総集編2 フェラーリの強みと弱み

フェラーリが狙ってそうなったのがは、わからないが、彼らのマシンが低速サーキットで無敵だったのは間違いない。
モナコ、ハンガリー、シンガポールではメルセデスを圧倒した。と言いながらもベルギーやイタリアのような高速サーキットでも競争力を示しており、チャンピオンを争うにふさわしいマシンだった。
一方のメルセデスは今年も速いマシンには違いなかったが、適切なセットアップを見つけるのが難しいマシンだった。そのため、昨年までとは違い、サーキットによってはフェラーリに遅れをとることもあった。
一般的はベッテルはマシンの信頼性不足が原因でチャンピオンを失ったとされている。それは間違いない。ベッテルはシーズン終盤にプラグやインテークダクトのトラブルで多くのポイントを失った。
例えば日本GPでプラグのトラブル(これ自体怪しいと思っているが)だが、実はメルセデスはレース前にFIAの許可を取り交換している(これはペナルティーの対象ではない)。
つまりこれはパーツのトラブルというわけではなく、チームの信頼性に関する考え方の違いなのである。
ベッテルはシンガポール、マレーシア、日本GPでたったの12ポイントしか獲得できてないが、ハミルトンはこの3レースで68ポイントを獲得している。最終的にこの2人のポイント差が46ポイント差であったことを考えるとこの3レースが今年のチャンピオンを決めたと言っても過言ではない。
特にシンガポールでなにもなければベッテルの優勝はかたかった。もし雨が降らなければハミルトンは最高でも4位だった可能性が高い。例えハミルトンが2位でもベッテルが優勝し、日本GPでベッテルが2位になっていれば、数字上では逆転している。
もちろんこれは数字の遊びで、もしハミルトンがポイントで負けていれば、ブラジルやアブダビでもっとプッシュしていたことは確実なので、勝負の行方はどうなっていたかはわからない。
それだけにフェラーリの信頼性不足はとても残念な結果であった。
そしてこの二台を決定的に分けた差がパワーユニットのパワーの差である。特に予選の差は大きかった。とはいえフェラーリが一発のタイムで劣っていたわけではない。Q2までは速いのだがQ3で違いを見せつけられてしまう。
メルセデスのパワーユニットには周回数が限定されている予選モードがあり、これでメルセデスは予選でフェラーリを凌駕することが多かった。パワーがタイムに及ぼす影響が小さな低速サーキットでは、フェラーリは強いが、それ以外で苦戦したのはそのせいである。
特に今年のダウンフォースの増えたマシンは、オーバーテイクが難しくなった。しかも新しいピレリのタイヤはコンサバで、ほとんどのレースでタイヤ交換は一回だけ。そうなると作戦面で差をつけるのも難しくなる。
こうなれば予選で前に出て、スタートからレースをリードするドライバーが有利なのは明らかである。
だから私はもしベッテルにトラブルがなかったとても、チャンピオンはハミルトンがなっていたと思う。
それくらい今は前からスタートすることが重要である。もしベッテルが予選でもう少し速くて何レースかをハミルトンの前からスタートできていれば、彼はチャンピオンになれていただろう。