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メルセデス 圧倒的強さの理由

2019 Chinese Grand Prix, Sunday – Wolfgang Wilhelm

 
オーストリアGPでやっとレッドブル・ホンダが一矢を報いましたが、9戦8勝はやはり圧倒的な成績です。
開幕前はフェラーリ好調、チャンピオン争いかとか言われてた事が遥か昔に感じます。
 
ではなぜメルセデスがここまで強いのでしょうか。
 
それには今年のピレリタイヤが関係してると言われています。今年、ピレリはタイヤのトレッド-タイヤの地面に接している部分ですね-のゴムの厚みを薄くしました。
 
薄くするとゴムの量が少なくなるので、中に溜まる熱の量が少なくなります。昨年までピレリのタイヤは頻繁にブラスターを起こしてました。ブリスターとはトレッド内に熱が溜まり、ゴムの中にある空気が膨張し、タイヤの表面に現れてくる現象です。
 
これを抑えるために、ピレリはトレッドのコンパウンドの厚さを減らしました。こうするとタイヤは熱を持ちにくくなり、タイヤは冷えやすくなります。
 
このタイヤの特性が今年のメルセデス独走に影響していると言われています。
 
昨年までも、そうだったのですがメルセデスのマシンはタイヤに熱を入れやすいという特性があります。だから昨年までのメルセデスはブリスターに悩まされていました。
 
実は昨年ピレリは3レースでトレッドゴムの薄いタイヤを持ち込んだのですが、その全てでメルセデスは勝利しています。勝った理由の全てが、タイヤというわけではありませんが、かなりの影響を与えていたことは間違いありません。
 

GP CANADA F1/2019 – SABATO 08/06/2019
credit: @Scuderia Ferrari Press Office

 
一方ライバル、特にフェラーリはタイヤに熱が入れにくい特性でした。逆にいうと気温が暑くても、速く走れるので暑いサーキットでは強いです。今年フェラーリがバーレーンで勝ちそうだったのはその理由も大きいです。
 
メルセデスのマシンが優れているのは間違いないのですが、ここまで差が広がっているのはタイヤの影響がある可能性は高いです。
 
というのもタイヤは地面に接している唯一の部品ですし、ピレリタイヤはその動作可能温度領域が狭いことでも有名です。
 
そしてピレリタイヤは動作温度領域に入らないとグリップしません。
 
メルセデスが今年も早いのは間違いないのですが、それ以外にここまで差がつく理由が思い浮かばないのです。
 
メルセデスの言う通り、タイヤは全チーム同じだから文句を言うのはおかしいと言う主張はもっともです。
 
だから私も昨年のタイヤを使えとは言いませんが、ここまで差がつくと正直競争にならないですよね。
 
もちろんサッカーと同じで全ての試合が面白いとは限らない事は理解してますが、情熱を感じられなければ、やはりおもしろくはないですよね。
 
昨年3レースでトレッド薄いタイヤを持ち込んだように、今年も何レースかはトレッドの厚いタイヤを持ち込んでもらえないですかね?ピレリさん。
 
 
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