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【用語解説】燃料流量計

開幕戦から大きな話題を生むことになった、燃料流量計。では燃料流量計とはどういうものなのであろうか?   そもそもどうして燃料流量が制限されるのであろうか?それはエネルギー効率を高めたいからである。ではエネルギー効率とは何を意味するのであろうか。それは限られた燃料からより多くのパワーを得ることである。  エンジンからより多くのパワーを絞り出すのは簡単で、より多くの燃料をより多くの空気と一緒にシリンダーに送り込めばいい(もちろん原理的には簡単でも、それを実現するのは簡単な話ではない)。 だがそうすると当然、燃料を大量に消費する。それではこれまでと変わらない。そこでシリンダーに供給する燃料の量を規制することによって、同じ燃料からより多くのパワーを引き出すのがこの規制の目的である。普通のガソリンエンジンであれば、燃料のエネルギー量を100とした場合、20程度しかパワーとして引き出せてない。今回のF1はそれを40くらいまで引き上げようとする野心的な目標である。 だがこの燃料流量を計測するのは、実は新しい技術でまだ発展途上である。F1で採用されているセンサーは燃料が流れていいる中に2つのセンサーがあり、センサー間で信号を交換して、信号の到達時間の違いにより燃料流量を測定している。 だがあるF1チームのエンジニアは、この信号にノイズがのって正確に計るのが難しいと言っている。 ではどうしてレッドブルがFIAから警告されても、燃料流量を下げなかったのだろうか。それは燃料流量を上げると当然、より多くのパワーが得られるからである。 またF1の燃料流量計は、燃料の流量自体は規制しない。つまりチームは燃料を多く流そうとすれば、流せてしまう。だからレッドブルは規制よりも多くの燃料を流せた。ではどういう方法で規制するかというとFIAが各マシンの燃料流量をモニターして違反があれば、警告する。瞬間的に多くなったのであれば、それは不可抗力である可能性が高いので、不問にされるであろう。今回のレッドブルはコンスタントに制限値を上回っていたので失格という厳しい処分が下された。 そもそも日本のスーパーGTのように燃料流量自体を規制してしまえば、話はもう少しシンプルになると思われる。 だがFIAは支給される燃料流量計が唯一の計測値で、他の計測値は認めないと開幕を前に通達している。つまり燃料流量計が間違った数字を示しても、それにあわせなければならない。これがあったのでメルセデスやフェラーリは燃料流量計の数値が間違っていると知りつつも、FIAの指示に従い燃料流量を修正し、規約にあわせた。 だから今後、レッドブルがどんなに正確なデータを示そうが、彼らには勝ち目がない。 燃料流量計は比較的新しい技術であり、チーム関係者もこれから開発していく必要があると述べている。レッドブルの問題が解決すれば、これはもう話題にもならないと思われるが、それでも開発は静かに続けられ、より正確なデータを測定できるようになっていくだろう。 この燃料流量計が勝負の行方を左右することだけはないようにして欲しい。

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