2014 Rd.18 ブラジルGP観戦記 可能性を残したロズベルグ
ニコ・ロズベルグはハミルトンの6連勝を阻止して、チャンピオンシップの望みを最終戦に残した。
もちろんロズベルグがこのレースを落としたとしても、計算上の可能性は残ったが、勝ったことによりハミルトンにも多少のプレッシャーを掛けるポジションに置くことに成功した。これはチャンピオンシップを考えると非常に重要である。
言葉にするとロズベルグのポール ツゥ フィニッシュだが、内容は決して快勝といえるレースではなかった。フリー走行から好調で、金曜日と土曜日のフリー走行でトップタイムをマークしたニコ。
だが予選Q3でポールポジションを獲得したものの、ハミルトンのミスに助けられた結果であった。レースでもポールからスタートを決めて、終始リードを奪ったが、追いすがるハミルトンを離すことができない。ハミルトンはレースでもミスをしてハーフスピン。これで5秒程度失ったが、レース終盤はニコのテールに接触しかねないほど、接近していた。
それでも日本GPやアメリカGPのようにハミルトンの逆転を許さなかったのは見事であった。タイヤの消耗が激しかったので、ほとんどのマシンが3ストップを選択した中、リアタイヤのマネージメントをきっちりとやりきったロズベルグ。リアタイヤが消耗しオーバーステア傾向になると、ハミルトンの方が有利になる中、最後までリアタイヤを労り、最終コーナーからの立ち上がり加速が素晴らしく、ハミルトンにオーバーテイクを許さなかったのは、素晴らしいドライビングだった。
ただ勝つには勝ったが、ハミルトンに猛追されながら何とか逃げ切った勝利は、決してこれまでの劣勢を跳ね返す自信を与えてはくれないだろう。だがこの時期に必要なのは内容でなく結果である。
この勝利によってロズベルグはハミルトンとの差を17ポイントへと縮めた。
これによりポイントが2倍になる最終戦でロズベルグが勝つと、ハミルトンは2位に入らなければならない。3位ではハミルトンは逆転負けしてしまう。普通に走ればメルセデスをドライブするハミルトンが2位になることは難しくはない。だが何が起こるのかがわからないのが、最終戦。過去にはアブダビで大逆転劇も繰り広げられた因縁のサーキットである。
今回はミスが目立ったハミルトン。これは彼の悪い時のパターンである。シーズン前半、ロズベルグがリードしていた時はハミルトンのミスが目立った。彼は自分のドライビング能力に絶対の自信を持ち、限界領域でのコントロールは抜群である。だから彼はバトルしても接触することはほとんどない。だがその自信せいで時々、攻めすぎて失敗することがある。彼はロズベルグより優れていると自信がある。
最終戦は両ドライバーの能力の差よりも、マシンのセッティングの差が2人の勝負を分ける鍵になるだろう。
確かにマシンのコントロール能力にハミルトンは長けているが、ロズベルグも決して劣っているわけではない。2人の差はほんの僅かである。勝敗の鍵はほんの少しのミスが分ける。そのほんの少し差が大きな差となって、結果に表れるだろう。
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