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■マクラーレンが階段ノーズを採用しなかった理由 <BR>ー階段ノーズの秘密ー

 さて2012年シーズンの新車も一部のチームを除き出そろった。
今年のマシンを一見すると誰でもある特徴に気がつくだろう。
階段状のノーズである。

ではなぜマクラーレンを除く優秀なデザイナー達がそろいもそろって、へんてこな、いや奇異なソリューションを導入してきたのだろうか。
当然その形状には、レギュレーションが関係している。

今年、導入されたレギュレーションだが、フロントシャシーの高さは625mmでそこから150mm前方の高さは550mmにしなければならなくなった。これは他のマシンの側面に衝突した場合、コクピットの中をフロントノーズが貫通する可能性を低下させるためである。
この規則を普通にクリアしようとするとノーズの先端の位置が低くなる。

ノーズの最先端の位置が低くなるとなにか不都合があるのだろうか。
一般的に言ってフロント・ノーズの位置は高ければ高いほど、マシンの下側いわゆるアンダーフロアに多くの空気を送り込める。このアンダーフロアに送り込め る空気の量は、そのマシンが発生させられるダインフォースの量に比例する。つまり多くの空気を下側に送り込めれば、ダウンフォースを増やすことができると いうわけだ。
彼らはダウンフォース量を稼ぐために、フロントノーズの位置を高くしたい。でもレギュレーションで高さの制限がある。であれば階段状にしてクリアすれば良いのではと考えたのだ。

では階段ノーズにしてデメリットはないのだろうか。
当然、ノーズ正面が滑らかでないのは空力学的に言って好ましくはないし、重心位置も高くなるし、サスペンションの設定位置も好ましくない。
だが彼らはそのデメリットがでることがわかった上で、メリットすなわち階段ノーズを選択した。
逆にマクラーレンはメリットよりデメリットがあると判断して採用しなかった。マクラーレンは昨年も比較的低い位置にノーズ先端を据えている。彼らは全体のパッケージとしてそれを選択し、今年もそれを継続しているのだ。

我々がいくらかっこ悪いとわめこうが、醜いと批判しようが、彼らにとって速いマシンはいいマシンである。

だがエイドリアン・ニューウェイが階段ノーズを採用してきたのには少し驚かされた。
美的感覚に優れ、見た目にこだわりを持つ彼が階段ノーズを採用したのは、メリットがかなりあることの証明であり、マクラーレンを除く全社がこのソリューションを採用してきたのには不思議はない。

実際問題としてノーズを上げて得られるゲインは少ない。だからマクラーレンは採用しなかった。問題は全体のパッケージであり、それが一番のキーポイントを 握る。ではなぜ今年はハイノーズコンセプトが流行しているかというと、ブロウン・ディヒューザーが禁止され、全体のダウンフォース量が減っているからだ。 つまり彼らは喉から手が出るほどダウンフォースが欲しいのである。

そうはいってもこの階段ノーズに外観にも、千差万別である。
かっこいい悪いは個人の主観的問題なので、ここで評論することは差し控えるが、これがF1かと思わされるのも見かけられる。
ただどんなにかっこ悪いF1も速ければかっこよく見えるという格言に沿えば、見た目は全く問題ではない。だが同時に醜いマシンが速かった例はあまりない。
果たしてどちらのジンクスが活きるのか、シーズン開幕が楽しみである。

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