フェラーリ疑惑のアンダーパネル
フェラーリがまた、騒動を起こしている。
昨年、フレキシブル・ウィングで物議を醸し出したが、今年はアンダーパネルが疑われている。
直線で、抵抗を強く受けたリア・ウィングがたわんでウィングの間にある隙間を埋めて抵抗を少なくするのが昨年のフレキシブル・ウィングだ。
今年はなんと、マシンのアンダーパネルが直線になるとたわんで、下がりマシン下面への空気の流量を減らすことにより、抵抗を減らすのだ。
この原理を理解するには、抵抗とダウンフォースの関係を知っておく必要がある。
簡単に説明しよう。
F1ではダウンフォースが重要だと言われるが、ダウンフォースには必ず抵抗が発生する。
なぜなら、F1とは前に進むマシンだ。
それを上から押さえつける力が加わるのだから、前に進む力が弱まるのは理解いただけるだろう。
あなただって、前に歩いているのに方を上から押さえられれば、歩きにくくなる。
よって、F1ではコーナーではダウンフォースが欲しいが、直線ではダウンフォースを減らしたい。
最も簡単な方法は可変ウィングだ。
コーナーではウィングを立てて、直線では寝かせればいい。
だが、今日この方法はレギュレーションで禁止されている。
過去にはあったのだが、可変するとトラブルでウィングの角度が動かなくなったときに危険だからだ。
直線で寝ているウィングが、コーナーに突入する際に、動かずに寝たままだと、コースアウトしてしまう。
よって今でもこれは禁じ手だ。
空力的付加物は固定されている必要がある。
ではフェラーリがなぜ昨年、フレキシブル・ウィングを導入したのか?
それは完全に動かないウィングなど誰も作れないからだ。
鉄などで作れば動かないが、そんなことしたら重量が3トンくらいになってします。
つまり、フェラーリの主張はウィングなんて完全に動かないようにするのは無理だから、これもたまたまダウンフォースが減って、結果としてトップスピードが伸びただけですというのだ。
このあたりは、完全にレギュレーションの解釈の問題だから、どちらが正しいとはいえない。
当初、FIAはフェラーリからの問い合わせにOKを出していたのだから。
では、ルノーのマスダンパーはどうなのだろう。
マス・ダンパーはウィングではない。
でも、空力的付加物は動いてはならないという理由で禁止された。
わかりにくい。
当初、問い合わせたルノーは、FIAにこれは空力的効果を狙ったモノではなく、タイヤを有効に使うデバイスだと説明し、OKをもらっている。
ところが、シーズン途中で他のチームから抗議を受けた、FIAはそれを支持して、マスダンパーは空力的な効果をもたらすデバイスであるとした。
それにより、マスダンパーは禁止された。
つまり、マスダンパーによりマシンのピッチングが押さえられることにより、ダウンフォースを安定的に得られるから禁止された。
これが、かなり無理のある解釈だというのは昨年のコラムでも指摘したとおりだ。
では、今年のフェラーリのフレキシブル・アンダーパネルはどうなのだろう。
私の推測では禁止されると思う。
FIAはF1のスピードを落としたいはずだし、フェラーリが独走するとシーズンが退屈になるので、禁止するだろう。
問題はいつ禁止するかだ。
どうやら、同様のデバイスをBMWザウバーも採用しているとの噂だ。
この二チーム、開幕から好調という点で共通している。
かなり強力なデバイスであることだけは事実のようだ。
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