2025年F1シーズンの幕開けを前に、プレシーズンテストがバーレーンで行われた。各チームが新車のポテンシャルを探る中、昨年の勢力図はどこまで変化したのか?ラップタイムやロングランのペース等を踏まえ、2025年の勢力図を予想する。
プレシーズンテストが示した各チームの勢力図
プレシーズンテストは、開幕戦に向けた重要な指標となる。しかし、燃料搭載量やエンジンモード、タイヤの使用状況など、すべての情報が開示されるわけではないため、テストの結果だけでシーズンの行方を完全に予測することは難しい。それでも、ロングランの安定性やセットアップの適応力、トラブルの有無などを総合的に考えれば、開幕戦でどのチームが優位に立つか、ある程度の見通しを立てることができる。

【優勝争い:マクラーレン vs メルセデス】
マクラーレンがテスト最速! 2024年の勢いを維持
昨シーズンの終盤に急成長を遂げたマクラーレンは、2025年も引き続きトップ争いを繰り広げる可能性が高い。ロングランのペースは安定しており、特にランド・ノリスのテスト2日目のシミュレーションでは、メルセデスやフェラーリを0.4秒以上引き離した。
さらに、マシンのバランスが良く、旋回性と加速性能の両方に優れている点が評価できる。唯一の懸念は、リアグリップが若干不安定な場面が見られたことだが、セットアップ変更で改善の兆しもあった。

メルセデス、復活の兆し
昨シーズン苦戦したメルセデスだが、今回のテストではW16のバランスの良さが目立った。特にロングランの安定性は目を見張るものがあり、ターン11での挙動を観察すると、フェラーリよりも安定したライン取りをしていた。
また、チームとして最も多い458周を走破し、信頼性の高さも証明した。低速コーナーでのアンダーステア傾向は若干残っているものの、セットアップの自由度が向上しており、マクラーレンと互角の戦いが期待できる。

【表彰台争い:レッドブルとフェラーリの課題】
レッドブル、トラブルに悩まされる
2024年の王者レッドブルは、マシンの基本設計を大きく変更。RB21は、過去の強みであったフロントの旋回性を多少犠牲にし、より広範囲のコンディションに適応できるよう設計された。
しかし、テストでは304周しか走行できず、各チームと比較して圧倒的に周回数が少なかった。低速コーナーではアンダーステア、高速コーナーではオーバーステアというセットアップの難しさもあり、フェルスタッペンが苦戦する場面もあった。
本来の実力を考えれば開幕戦では上位争いに絡んでくる可能性は高いが、セットアップの煮詰め不足がどう影響するかがポイントだ。

フェラーリ、タイヤのデグラデーションに課題
シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンの新体制となったフェラーリだが、プレシーズンテストでは苦戦を強いられた。
特にリアグリップの不足が顕著で、ロングランになるとペースが急激に落ちる傾向が見られた。ハミルトンのレースシミュレーションでは、最初の数周こそ好タイムを記録したものの、その後のペースダウンが著しく、フェラーリのタイヤマネジメント能力に疑問符がついた。
また、最終日に発生したギアボックスのトラブルもあり、開幕戦までに信頼性を高める必要がある。

【中団争い:ウィリアムズが台頭】
ウィリアムズ、サインツの加入で勢力図が変化
ウィリアムズは、2024年に比べて明らかに競争力を増している。新車FW47は軽量化に成功し、サインツがテスト最速タイムを記録したことからも、単純な速さでは中団の中で抜きん出ている可能性がある。ロングランではまだメルセデスやフェラーリと戦うには至っていないが、開幕戦ではQ3進出、ポイント圏内フィニッシュが現実的な目標となるだろう。

アルピーヌ、やや伸び悩む
昨年のバーレーンGPで最後尾を独占したアルピーヌだが、今年のテストでは少しずつ進歩を見せている。ジャック・ドゥーハンがロングランで安定したペースを刻み、ピエール・ガスリーの走行データも有望なものだった。とはいえ、ウィリアムズに比べると速さでは一歩劣っており、シーズン序盤はポイント争いが主戦場となりそうだ。

【後方争い:ザウバーとレーシング・ブルズの苦戦】
ザウバー、最下位を脱せず
アウディ参戦を控えるザウバーだが、バーレーンテストでは厳しい現実に直面した。ロングランのペースはトップから1.69秒遅れ、最下位となった。
燃料搭載量の影響もあるかもしれないが、トップとの差を考えると、開幕戦ではQ1突破が難しい状況だろう。

レーシング・ブルズ、ハンドリングに苦戦
角田裕毅とイザック・ハジャルがステアリングを握ったレーシング・ブルズは、ハンドリングの難しさが目立った。オンボード映像でもコーナリング時の不安定さが確認され、角田がマシンを抑えるのに苦労する場面が多かった。ホンダ製パワーユニットはモードを下げて運用されていた可能性があるため、本来のパフォーマンスは開幕戦で明らかになるだろう。
【まとめ:2025年F1シーズンの展望】
プレシーズンテストを総合的に評価すると、現時点での勢力図は以下のように予想できる。
- マクラーレン
- メルセデス
- レッドブル
- フェラーリ
- ウィリアムズ
- アルピーヌ
- ハース
- アストンマーティン
- レーシング・ブルズ
- ザウバー
果たして、この勢力図は開幕戦でそのまま反映されるのか? それとも、新たなダークホースが現れるのか?2025年F1シーズンの開幕が待ち遠しい。