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2009 Rd.14 シンガポールGP観戦記

▽ハミルトンのパーフェクト・ゲーム ハミルトンの完勝だった。 ポール・ポジションからスタートして、リードをほとんど譲ることなく、逃げ切った。 予選Q3でバリチェロがクラッシュし中断した事も、ハミルトンには有利に働いた。 各車がQ3最後のアタックに向かう途中での予選中断により実質、各ドライバーは1回だけのアタックに終わり、本来のスピードを発揮することができなかった。 その為、重い燃料を搭載するハミルトンがポール・ポジションを獲得。 追い抜きの極めて難しいコースで、重い燃料を積んだKERS搭載のハミルトンがポール・ポジションをとれば、これを打ち破るのは簡単ではない。 実際、ポール・ポジションからスタート・ダッシュを決めたハミルトンは、序盤にKERSのトラブルがあったものの、トップをほとんど譲ることなく、勝利した。 今年のマクラーレンのマシンは、空力の性能が悪いだけだけで、メカニカルな部分の性能は悪くなく、シンガポールのような低速で、空力の影響力が比較的少ないサーキットでは、競争力があった。 それでも、トータルで見るとレッドブルなどに劣るマシンをねじ伏せ、このバンピーなストリート・サーキットで完全に近い走りを見せることができる、ハミルトンの実力は、さすがというしかない。 次の鈴鹿で、マクラーレンは苦戦することが予想されるが、ハミルトンが苦しい戦闘力のマシンを、どこまでコントロールしてくるか、注目したい。 ▽ペナルティに泣いたニコ・ロズベルグとベッテル ハミルトンのドライビングは素晴らしかったのだが、彼の勝利を容易にしたのが、ニコとベッテルのペナルティだった。 序盤、この三台は、ほぼ同じペースで走っていた。 その中でハミルトンが一番燃料を積んでいたので、ペナルティがなくても、彼の勝利は動かなかったと思うが、ブレーキングに厳しいこのサーキットで、直後にマシンがいるのと、いないのとでは、ハミルトンに掛かるプレッシャーが違う。 実質、この二人がペナルティで後退した時点で、レースの行方はほぼ決まったと行って良かった。 ニコ・ロズベルグのペナルティは、今回コースの改修がおこなわれた部分で、以前よりピット出口のホワイトラインが延長されていた。 タイトな1コーナー沿いに延長されたこのピット出口も当然、きついカーブなっており、ニコはスピード制限区間を過ぎて加速したが、ブレーキングが間に合わず、ホワイトラインの手前の縁石部分を乗り越えて、ペナルティとなった。 このコースは、ウィリアムズにとっては非常にあったサーキットであり、好成績が予想され、ニコもその期待に応えて素晴らしい走りを見せていただけに、このミスは痛かった。 抜き所のない、このサーキットでベッテルよりも重い燃料を積んでいた、ロズベルグはペナルティがなければ2位の可能性が高かっただけに、悔いが残るミスだった。 ニコにとっては、ペナルティが出たタイミングも悪かった。 SCあけに、ドライブスルーペナルティを実施した為、ほぼ最下位近くにまで順位を落とす結果となった。 3秒早くても抜けないコースで、こうなってはさすがのニコも為す術がない。 ベッテルは、予選Q3の最初のアタックを中古タイヤを履いてアタック。 軽い燃料を積んだベッテルは、二回目のアタックを新品タイヤでアタックし、ポール・ポジションを取るつもりだった。 そして、ポールから逃げてギャップを広げ、勝利を目指そうとしたのだが、予選中断でポールが取れず2位に終わり、苦しくなった。 市街地サーキットであるシンガポールは、偶数列側は極めて路面が汚れていて、不利である。 ベッテルもスタートで失敗し、ニコに先行され、さらに後続のマシンに抜かれかかるも、なんとか踏みとどまり、3位を走行中だっただけに、痛いペナルティだった。 それでも、4位でフィニッシュして5ポイント獲得できたことは幸運だった。 ただ、予選Q2脱落のライバル バトンが直後の5位でフィニッシュしたため、喜びも半分だろう。 ▽粘り勝ちのバトン 予選Q2で脱落したバトンは苦境に立たされていた。 ライバルのレッドブルの二台は、予選2位と4位。 ただ、バトンにとって直接のライバル バリチェロがギヤボックス交換による5番手降格で10位スタートとなったことは、幸運だった。 バトンとすればレッドブルの状況を気にすることなく、前を走るバリチェロにターゲットを絞り、ついていけば損害は最小限にとどめられる。 ところが、バリチェロは二度目のピットストップの際にタイムをロスして、バトンの後ろになってしまう。 これで、バトン5位、バリチェロ6位でフィニッシュ。 シンガポールGP終了後のポイントは、下記の通り。 バトン   84ポイント バリチェロ 69ポイント ベッテル  59ポイント 次の鈴鹿でバトンがバリチェロに5ポイント以上の差をつけると、バトンのチャンピオンが決まる。 ベッテルは次のレースで6ポイント以上差を詰めないと、チャンピオンの可能性がなくなる。 今回、ブレーキトラブルで二戦連続リタイヤしたウェバーは32.5ポイント差がつき、チャンピオンの望みは絶たれた。 次の鈴鹿は、バトンを追う二人にとっては絶対に落とせないレースとなる。 ▽初表彰台のアロンソと二度目のグロック 苦戦が予想されたトヨタは、ツゥルーリは下位に沈んだが、グロックは終始いいペースを保ち、ニコとベッテルのペナルティにも助けられて、2位表彰台を得た。 豪雨のマレーシア以来の表彰台だ。 それにしても、トヨタは不思議である。 モナコでは全くダメだったにもかかわらず、似たコース特性を持つシンガポールでは表彰台。 スパでは速かったが、モンツァでは失速。 この原因をチーム側が完全に把握していれば、今後も同様の好成績が望めるのであるが、今後の成績に注目してみたい。 次の鈴鹿、特に再舗装された東コースはトヨタ向きだと考えられるので、このバンピーなシンガポールで好成績を残せたことは、再舗装されていない西コースでタイムを稼げる可能性を示唆しており、期待できそうである。 1年前のシンガポールGPでのスキャンダルにより、不名誉な裁定を受けたルノーは、このアロンソの今シーズン初表彰台により、勇気づけられただろう。 ニコとベッテルのペナルティに助けられたにしても、今シーズン不調のマシンで、表彰台を獲得するのは、さすがアロンである。 ただ、今後のサーキットはルノーが不得意とするコースが多いので、これがシーズンの最高結果となるだろう。 そして、来シーズンアロンソがどこに行くのかが、注目される。

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