2014 Rd.11 ハンガリーGP観戦記 王者への道を歩み始めたリカルド
このレースを見た後であれば、リカルドが適切なマシンさえ与えられれば、チャンピオンになれないと考える人はもういないだろう。
優勝したリカルドも素晴らしいレースだった。この抜きにくいハンガロリンクでいくら新しいタイヤを履いていても、3位から優勝するのは簡単ではない。しかも前を走るのは現役F1ドライバーで最高位に輝くハミルトンとアロンソである。しかもハミルトンは最強のメルセデスのマシンを操っている。誰がこの状況から逆転優勝することを考えられるだろうか。この状況ならば3位でも充分に褒められる。
だがリカルドだけは3位では満足しなかった。リカルドはハミルトンをアウトから抜き去り、続く1コーナーでアロンソのインをズバッとついて抜き去った。鮮やかとしかいいようがない走りである。アロンソは全く抵抗ができなかった。あのアロンソがである。
チャンピオンドライバー達は勝利のチャンスが目の前にある場合は、必ずそれをものにする。そういう意味ではリカルドは、既にチャンピオンの器があると言ってもいいだろう。
もちろんリカルドは幸運にも恵まれていた。アロンソがかなり遅く走っていたので、ハミルトンは自分のペースで走ることができなかった。その為、彼のもてる力の全てを出せない状況ではあった。だがそういう状況でもハミルトンをインフィールドセクションで抜くのは容易ではない。彼はメルセデスのマシンをドライブしているのだから。
リカルドがラップ数が少ないソフトタイヤを履いていたのが、逆転劇の理由の一つであるのは間違がない。しかし新しいソフトタイヤを履いていれば、誰でもハミルトンやアロンソ抜けるのであれば、苦労はしない。リカルドはタイヤの力を借りながらも、自分自身で決断しアタックを仕掛け、しかも完全にマシンをコントロールした状態でハミルトンを抜いた。
これは彼の高い能力があったからこそ成功したオーバーテイクである。4年連続のチャンピオンがまだ1勝も上げられていない状況でのリカルドの2勝目は、チームに衝撃を与えただろう。ハンガリーGP以後のレッドブルは、それ以前とは違ったチームになるのかもしれない。
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