アロンソ フェラーリ離脱へ!
アロンソはフェラーリとの5年間にわたる苦難の歴史に終止符を打つ決断をしたようだ。
アロンソは、新しいフェラーリの経営陣からチームからの離脱が可能であると告げられた。これはアロンソとの契約延長交渉が順調でないチームが、フェラーリの将来を彼には託せないと考えた結果である。今後のチームとの話し合いと移籍交渉次第で、アロンソはフェラーリを離れることになりそうである。
日本GP前に受けたインタビューで、レッドブルやマクラーレンへの移籍について、アロンソはこう答えている。
「これはとても答えるのが難しい質問だ。同じ答えを繰り返さなければならないが、僕はフェラーリのためにベストを尽くしたい」
「1日の終わりにはいろいろな考えがある。僕の気持ちは多分決まっている」
「僕はどこでF1をドライブできるか選ぶことができて、とても幸運だ」
「行けるところならどこでも行ける。可能性のあるチームへ移籍できる」
「自分の将来を自分で決めることができるのは、とても幸運なことなんだ。そして自分はベストを尽くす」
これまでの受け答えと比較すると、明らかにニュアンスの変化が見られる。
元々、アロンソは競争力のあるマシンを作らないフェラーリに不満を持っていた。フェラーリとの契約延長交渉が遅々として進まなかったのも、この影響である。アロンソはフェラーリに競争力向上のための方策を求めていた。
彼らは2010年と2012年にワールドチャンピオンに限りなく近づき、あと一歩のところで逃してしまった。だがこの時も最高のマシンはレッドブルであるのは明らかであり、実際共にチャンピオンになったのは、レッドブルのベッテルであった。
今のフェラーリは1つの転換期にさしかかっている。長年、トップを務めてきたモンテゼモーロが退職。かわりにフィットのマルキオーネがCEOの座についた。さらにその前には、ドメニカリが退職し、マテアッツィがその職を引き継いだ。そうした中で、フェラーリの新しい経営陣の中には、アロンソを放出し、新しいスタートを切りたいという勢力がいる。
アロンソは常にフェラーリが最初の選択肢である事を明言してきた。だが状況が変化したことにより、彼の心も変わってきたようである。
だがこれは新しい経営陣に取り、危険な賭けである。この5年間フェラーリが曲がりなりにもトップチームの体裁を整えられていたのは、アロンソの力に負うところが大きい。彼は最速でないマシンをドライブしながら、望みうる以上の成果を残してきた。
思い出さなければならないのであるが、アロンソが二度のタイトルを獲得した時もルノーは決して最速のマシンではなかった。速いマシンではあったが、決して大きなアドバンテージがあったわけではない。しかも彼は7回のワールドチャンピオンであるミハエル・シューマッハーを正々堂々と打ち破った唯一のドライバーである。
これほど優れたドライバーをみすみす手放すというのは、普通の考え方ではありえない。
フェラーリの経営陣が、速いマシンさえ作れれば勝てると思っているようであれば、それはフェラーリの長く続く低迷時代の始まりになるかもしれない。
Part2 「アロンソの後任は誰だ?」につづく
(10月6日公開予定)
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