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2010 Rd13 ベルギーGP観戦記

JUGEMテーマ:スポーツ

 ▽スーパー ハミルトン

今回もスパのレースは、雨がドラマを演出した。 いつも天気が不安定なスパのレースであるが、今年は例年以上に不安定で、金曜日から日曜日まで常に雨が降ったり止んだり、不安定な天気が続いた。 その為、セッティングを晴れ用にするわけにもいかず、かといって雨用ににするわけにもいかず、難しいセッティングを強いられた。 そんな中、マクラーレンのハミルトンは、晴れよりのセットアップを選択。 マクラーレンがチャンピオンシップを獲得するのであれば、このベルギーGPと次のイタリアGPは必ず勝たなければならないレース。 この二つのレースは、トップスピードがとても重要なサーキットであり、マクラーレンは競争力があるためである。 ハミルトンは、予選ではウェバーには敗れたものの、最後のアタックで2位に滑り込む素晴らしいドライビングを見せた。 彼のこの走りは驚異的であった。 Q3は最初が晴れで始まり、途中でパラパラと雨が降り出す微妙な路面コンディション。 ほとんどのドライバーが最後のアタックで、それまでのタイムを更新できない。 そんな中、彼だけが自己ベストを更新して2位にジャンプアップしてきたのだ。 しかも彼に言わせると、このアタックは1コーナーでミスしてタイムロスしたというのである。 実際、Q3で路面が濡れていたのがこの1コーナー周辺であり、彼はそこでタイムロスしたにもかかわらず、他のセクションでタイムを更新してきたのだ。 マクラーレンに有利サーキットとはいえ、この走りはスーパーである。 ハミルトンには本当に驚かされる。

 決勝レースもスタートでトップに立つとそのまま独走態勢に入って楽勝したように見えるが、レース中の頻繁に変化する路面コンディションに対応するのは並大抵のことではない。 レース中はある部分ではドライで、ある部分はハーフウェットという状況で、息つく間もない状況であった。 実際、ハミルトンをもってしても雨が降るターン8でブレーキをロックさせ、曲がりきれずにグラベルに飛び出すシーンがあった。 この時も最後まで諦めずにマシンをコントロールし、接触寸前で回避して、なんとかトップでコースに戻った。 この時ばかりはハミルトンも心臓が止まりそうだったことだろう。 この日の彼は、彼がチャンピオンにふさわしいドライバーであることを証明してくれた。 次のモンツァでも勝つようだと、チャンピオンが遠くにではあるが、少し見えてきそうだ。 ▽安定したウェバーと不安定なベッテル この日のウェバーにとって2位は最高の結果と言っていいだろう。 例えスタートを決めていたとしても、この日のハミルトンに勝つ術はなかったと思う。 Fダクトを使うマクラーレンは、強力なメルセデスエンジンの助けもあり、高いトップスピードを誇る。 一度マクラーレンが前に出てしまうと、それを抜くのは彼らのミスがない限り不可能である。 スタートで大失敗したウェバーは一時7位にまで順位を落とす。 このミス自体は彼の責任ではなく、クラッチの設定ミスであり、責任の大半はエンジニアにあると見て良いだろう。 だがレッドブルはベッテルも同じようなミスを二度続けたことがあり、少しお粗末である。 これでは何回ポール・ポジションをとっても勝てないは当然である。 それを5位まで挽回したところで、バトンとウェバーがいなくなり3位に。 最後にはクビサがピットでミスをして2位を得た。 棚ぼたで2位を得た感じもあるが、この難しいコンディションで一番安定した走りを見せていたのはウェバーであり、その安定性が彼に2位をもたらせた。 チャンピオンシップでハミルトンに逆転を許したが、差はたったの3ポイントである。 マシンの出来を考えると全く問題のない差であり、彼もまたチャンピオンへの道を歩みつつある。 チームメイトのベッテルはやってはいけない類のミスをしてしまった。 シーズン終盤に向かうこの時期に絶対にしてはいけないのは、ノーポイント。 メカニカルトラブルであれば致し方ない面もあるが、この日のベッテルの走りは全く褒められない。 彼が何人かいる最速ドライバーの1人であることは間違いがない。 レッドブルが最速マシンであるのも間違いがない。 彼は今シーズン、コース上で最速であるのは間違いがない。 だが最速のドライバーがチャンピオンになるわけではない。 チャンピオンはシーズン終了時点で、最も獲得したポイント数が多いドライバーがなるのである。 このレースやトルコ、ハンガリーでのミスで失ったポイントを合計すれば、彼は余裕でランキングトップである。 この三つのレースに勝たなくてもである。 このあたりをチームが、彼に説明すればいいのだが、チーム自体も若く経験不足のため、それができないのであろう。 ただベッテルはチャンピオンを争うドライバーの中で唯一自力で連勝できる能力とマシンを持つ。 逆転はまだ十分に可能だが、このまま取りこぼしを続けると、彼の夢は潰えるだろう。 バトンはこのクラッシュを理解できないと言っているが、下記のような状況であると推測される。 あのシーン、バトンは完全にインベタでシケインにアプローチしている。 シケイン突入前に少しだけマシンを左に寄せているが、それにベッテルは反応して、インに飛び込もうとして、ブレーキングを開始。 だがベッテルが思ったよりバトンは左に進路変更せず依然としてイン側にマシンを置くバトン。 ベッテルは行き場を失い、左側のスペース逃げようとしてコントロール失い、バトンに激突した。 フルブレーキング中に急激な進路変更をすればコントロールを失うのは当然である。 しかもベッテルのシケインへの突入スピードはバトンと比べて明らかに速い。 ライブで見ていたときは、バトンはシケインの路面が濡れていることを予測して、早めにブレーキをかけたと理解していた。 だがレース後にバトンは、あの場所は完全にドライであり、ブレーキを早くかかけたという事実はないと証言している。 ところがベッテルはバトンのブレーキングが早く、避けようとして衝突したと述べている。 どちらの証言が正しいのかはわからないが、この激突によりチャンピオンを争うバトンとベッテルが無得点に終わったことは事実である。 これはバトンにより大きなダメージを与える。 先ほども述べたが、マクラーレンはこのレースで勝たなければならなかった。 この日のバトンに勝利のチャンスはなかったとは思うが、それでも2位でポイントを得るのは、非常に重要なミッションだった。 それをベッテルに壊されたバトンはやりきれない思いだろう。 ▽苦しいアロンソ アロンソのレースは予選で失敗したことで難しくなった。 Q3の雨の降り始めたタイミングで、唯一残っていた新品スリックを装着してしまい、アドバンテージをいかせなかった。 10位からスタートした彼は雨が降り出し濡れたシケインを飛び出したところを、後ろから同じように飛び出したバリチェロにぶつけられる。 これは中位からスタートしたリスクであり、受け入れざるを得ないだろう。 ところがアロンソは即リタイヤと思われたが、そのままピットへ戻りインターミディエイトに変えて再スタート。 このタイミングでコースはクリアだったにもかかわらず、破片をかたづけるために、SCが入る。 本来であれば雨が降っている間にアロンソはペースアップをしたかったはずだが、それはできなかった。 SCが入っている間に雨は上がり、アロンソはもう一度ピットへ向かいスリックに交換する羽目になる。 それでもレースを諦めないアロンソ。 彼はスパのレースでは何が起こるか分からないことを、よく分かっている。 1ポイントでも獲得できるチャンスがあるのであれば、彼は諦めない。 チャンピオン争いにおける1ポイントの重みを知っているからだ。 そんなアロンソだったが、最後は雨で濡れたのってはいけない縁石に乗り上げて、コントロールを失い、コースアウトしてバリアに接触してコース上に戻り立ち往生して、SC導入の原因を作った。 これでアロンソとランキングトップのハミルトンとの差は41ポイント差。 大きい差ではあるが、今年の優勝者25ポイント獲得を考えれば、逆転は不可能ではない。 ただ、フェラーリが最強のマシンでないことを考えるとかなり難しい状況である。 ▽ルノーの進化と光るクビサのドライビング ルノーは確実に進化している。 決して派手ではないし、投入するパーツも多くはない。 予算も限られている。 それでも彼らは少ない数のパーツを確実に成功させている。 今回の目玉はFダクト。 多くのチームはかなり前に投入済みだが、有効活用するのはなかなか難しい。 だがルノーは、投入初戦から効果を発揮。 もともとパワーに劣るルノーは、スパでは競争力がないと思われていたが、クビサは、予選で3位に入り、決勝レースでもバトンとベッテルのリタイヤ後は、2位を走る。 ところが、雨が降り始めピットインした際に止まりきれずに、停止位置をオーバーしてしまう。 クビサはハンドルに着いているスイッチを触りセッティング変更していて、止まりきれなかったようだ。 このミスによりウェバーに抜かれてしまい、惜しくも3位となってしまった。 幸い置いてあった窒素ボンベには間一髪衝突しなかったのでよかったが、もし接触していればフロントウィング交換となりさらに順位を落としていただろう。 2位は逃したとはいえ、クビサの見事な走りであった。 ▽作戦成功も喜べないメルセデス メルセデスの二台は雨用のセッティングに振ってギャンブルに出た。 よく言うとそういうことだが悪く言うと、そうでもしなければスピード不足で勝負にならなかった。 彼らの作戦はシンプルでハードタイヤでスタートして、引っ張れるだけ引っ張り、レース終盤に雨が降った段階で雨用タイヤに交換して、タイヤ交換義務をなくし、ピットイン回数を他より1回減らして入賞を目指すというものだ。 そしてレースは彼らの作戦通りに展開した。 レース中に何度も雨は降ったが、どれも短時間で上がり、タイヤ交換するまでもなかったが、レース終盤の雨は所により激しく降り、各車タイヤを交換。 これにより既にタイヤ交換の義務を終わらせていた、可夢偉に迫られたメルセデスの二台だったが、順位をキープし、二台とも入賞した。 ニコとミハエルのバトルはレース序盤と終盤に二度勃発し、1勝1敗。 なかなかスリリングな面白いバトルだったが、またニコに負けたミハエル。 彼の心中は穏やかではないだろう。 ▽可夢偉 残念な8位入賞 予選では雨絡みの予選で失敗しQ1で脱落。 タイム的には余裕でQ3に進出できるスピードがあっただけに、これは大失敗だった。 最初はドライタイヤでアタック開始したが、すぐに赤旗中断。 その後、雨が降り始めインターミディエイトに交換したものの、雨はすぐに上がったので、ドライに交換。 ところが、アウトラップで用心していたにもかかわらず、コースアウト。 そのままアタックを続けていれば良かったのだが、マーシャルに押し出されてコースへ戻ったので、アタックできないとチームが判断したらしいが、実際にはそんなことはなく、そのままアタックしていれば、結果は違っていたかもしれない。 ところが多くのドライバーがペナルティで後退し、可夢偉も2つポジションを上げて17位からスタート。 レース序盤で雨が降り混乱するタイミングで、ソフトからハードタイヤにタイヤ交換。 これでタイヤ交換の義務を終わらせた可夢偉は、最後までストップする必要がなくなる見事な判断と思いきや、タイヤがパンクしてのピットイン。 交換用のタイヤが用意されていないほど、緊急ピットインだったが何はともあれ、これで彼はタイヤ交換の義務を果たした。 彼はタイヤ交換せずにレインセッティングでペースの上がらない、メルセデスの2台の後ろ8位でラップを重ねる。 何もなければ可夢偉は、メルセデスがピットに入れば6位の可能性が大きかった。 ところが最後は雨が降ってきて、ほぼ全社ピットインすることになり順位は変更なく、8位でレースをフィニッシュ。 最後は残念な結果にはなったが予選順位が悪くても、レースが混乱してもきっちりと結果を残す可夢偉。 次のモンツァは厳しいかもしれないが、鈴鹿に向けて楽しみである。 もっとも8位で残念と言っているのであるから、ある意味贅沢な話ではあるが。

 

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