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ホンダ製パワーユニットのレイアウトが判明

_FER0405-s 2015年度からF1に復帰するホンダのパワーユニット(以下PUと略)を搭載したマクラーレンの暫定マシンMP4-29Hがアブダビテストで走行した。ただ走行したとはいっても、トラブル続きであり、まともに1周走ることができず公式タイムを記録することはできなかった。 だがそれはあまり心配する必要はない。これは今年のシーズン前テストでルノーやフェラーリも経験していることで、この複雑なPUの構成を考えると当然のことである。 そうした中でホンダ製PUの構成が少し見えてきた。彼らはメルセデスと同じターボとコンプレッサーを前後に分離したレイアウトを選択したようである。 これは今シーズン、メルセデスのPUを搭載したマシンが好成績を残したことを見れば、当然の選択である。そして他のPUメーカーの出方を見て、PUのレイアウトを決めることができたホンダの有利な点である。 ターボとコンプレッサーを前後に分離すると高熱の排気ガスで熱せられるターボと空気を圧縮するコンプレッサーの距離が離れ、圧縮する空気の温度が下がる。圧縮する空気の温度が下がれば、その空気を冷やすためのインタークーラーも小型化でき、空力的なメリットも大きい。 さらに関係者の話を総合するとホンダはアブダビテストで二種類の排気管を試していたようだ。これはメルセデスが今年使用した排気管とルノーやフェラーリが使用した通常の排気管である。メルセデスの排気管は通常のたこ足とは違い、エンジンから出た排気管がほぼ直角に曲げられていた。その為、スペース効率は高い。 だがレーシングエンジンの基本はルノーやフェラーリのようなタコ足の排気管である。排気管の長さを等しくすることにより、エンジンの性能を引き出そうというのがその考え方の基本である。だがメルセデスはそれを採用しなかった。彼らがそれを採用しなかったにも関わらず高いパワーを示していたのは、彼らがエンジンのパワーにそれほど頼っていないことを表している。つまり彼らはMGU-Hでのエネルギー回生に優れていたということである。 ホンダはこの二種類の排気管を試して、両方のメリットとデメリットを検証していた(もっともほとんど走行できなかったので検証できたかどうかは疑問であるが)。現時点で彼らのPUはまだFIAに登録されておらず、彼らはPUのレイアウトも含めて自由に変更することが可能である。 ホンダはまだPUの構成を確定していないと発言している。つまりここからの変更があることをほのめかしているが、これ以降ターボのレイアウトを変更する大きな改良をするのは時間的にも難しいし、メルセデスの好成績を考えると、これ以外のレイアウトを採用することも考えにくい。 これでホンダはPUのレイアウト的にはメルセデスと同じであり、不利な点はなくなった。だが当然PUの構成を1年遅れで決めることができるメリットがホンダにはあるが、1年間の実走データがないという不利な点もある。これはテスト期間の短いことを考えると大きなデメリットである。 そう考えるとホンダはシーズンが始まってからも細かいアップデートを積み重ねていき、シーズンの終盤頃には信頼性と競争力を得ると考えた方がよさそうである。