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ハミルトンがメルセデスを離れる可能性

754987928-492519372014 メルセデスが2014年のワールドチャンピオンであるハミルトンに3年契約を提示したと伝えられている。最速のドライバーに最速マシンの組み合わせで問題なく契約延長されるかと思いきや、実態はそうではない。 もちろん今年いっぱいでハミルトンがメルセデスを離れるといいたいわけではない。ハミルトンもメルセデスもお互いを必要としている。だから契約延長になる可能性が高いのだが、必ずそうなるともいえない状況である。 一番大きな問題になるのはハミルトンのサラリーであろう。現役で最高年俸を得ているのはベッテルとアロンソであると言われており、その額は30億円と噂されている。現契約でのハミルトンのサラリーは20億円と言われていて、その差は10億円ある。 我々庶民からすれば、20億円と30億円も大差がないと思ってしまうが、ハミルトンにとっては大きな問題である。それは金額の問題ではなく、トップF1ドライバーのプライドの問題である。 現在、F1のトップ3ドライバーはアロンソ、ベッテル、ハミルトンになる。ハミルトンがベッテルやアロンソより低い金額で納得するとは思えない。メルセデスはハミルトンに対して28億円でオファーしていると噂されている。この金額が正しければ、ハミルトンはベッテルとアロンソに対して2億円少ない金額になってしまう。 もちろんメルセデスはこの金額に対して勝利した場合や、チャンピオンになった場合にボーナスを出すとしてる。だがこの条件にハミルトンが納得するか定かではない。 実際、あれほど圧勝した昨シーズン中でもハミルトンはフェラーリへ移籍の可能性を打診している。この時はすでにベッテル獲得を視野に入れていたフェラーリから断られたが、今シーズンもそれが再発しないとはいえない。 今年もハミルトンはロズベルグとの激しいチームメイトバトルを制しなければいけないわけで、今年も昨年以上に激しい火花が飛び散る可能性が高い。その際にハミルトンが感情的になり、他のチームと交渉することはあり得る話である。 ただメルセデスにとって幸いなことに、マクラーレンにはアロンソがいてハミルトンが移籍するのは難しい。レッドブルに移籍する可能性はほぼゼロ。残るはフェラーリだけだが、これもライコネンが引退した時に限られる。つまりハミルトンにとっても移籍可能なチームは限られているわけで、最終的にはメルセデスと再契約することになるだろう。 だがハミルトンはマネージャーを使っておらず、これらの交渉を全て自分自身でやらなければならなくなる。ただでさえプレッシャーのかかるシーズン中に彼が複雑な交渉をまとえ上げることができるのか不安な面もある。 だからハミルトンがメルセデスを離れる可能性はゼロとは言えないし、移籍しても驚くことではない。その可能性が低いとしても、F1では何が起こるかわからない。1年前にベッテルがフェラーリに移籍して、アロンソがマクラーレンと契約すると言えば、頭がおかしいと思われただろう。少しのボタンの掛け違いで移籍することもあるし、契約ができないこともある。人の感情とお金と損得勘定が渦巻くのがF1の移籍で、タイミングによっては何が起こるかわからない。それがF1である。