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2012 Rd9 イギリスGP観戦記 <BR>ー ウェバー逆転勝利の理由 ー

JUGEMテーマ:スポーツ
▽    ウェバー 逆転勝利で2勝目
マーク・ウェバーが逆転で今シーズン2勝目を上げた2人目のドライバーになった。レースはスタートからアロンソがリードしていたのだが、終盤に逆転。
2人の結果を左右したポイントはどこにあったのか?

土曜日の大雨で決勝スタート時のタイヤ選択は自由になった。そこで興味深い選択が見られた。PPのアロンソはハード、その他の上位自陣はハミルトンを除いて全員ソフトタイヤを選択した。これには大きく二つの理由があった。一つ目の理由はスタートでの蹴り出しの良さ。実際にスタートを見るとウェバーがアロンソより蹴り出しの加速がいい。ところがアロンソが血も涙もないブロックを見せたので、一瞬アクセルを戻したウェバーはアロンソに先行を許してしまう。

そして素早くタイヤの動作温度を上げてレース序盤で競争を優位に進めたいのが、二つ目の理由。
ところが意外に気温が上昇したことと、タイヤへの入力が大きい路面とコースレイアウトにより、ハード側も1周目からソフトと遜色なく走れて、4周目にはハードとソフトはタイムが入れ替わってしまった。こうなるとタイヤの寿命が短いソフトは厳しい。その後、ハードのアロンソとソフトのウェバーの差は開いていく。ただ2ストップを選択する場合、少なくとも10周以上はしないと、後のスティントが厳しい。その為、ウェバーはアロンソに離されてもタイヤ交換するまで我慢するしかなかった。
 そしてウェバーは14周でピットに向かう。ここで当然ハードに交換。ところが驚いたことにアロンソも次のラップでピットに向かった。これがアンダーカット を嫌ったのか、予定通りなのかは不明である。ただ二台の差は4秒以上あったので、アロンソがタイヤ交換前と同じペースを維持できるとすれば、そのまま数 ラップしても、抜かれる可能性は少なかった。ウェバーがハードに履き替えてからは、同じハードタイヤを履くアロンソと互角のタイムを刻み始めて戦いは硬直 状態に陥る。問題は最後にソフトを履くアロンソがどこでタイヤ交換するかであった。ウェバーは33周目に2回目のストップ。当然ここでもハードに履き替え て最後まで走る。アロンソはその4周後、37周目にソフトにタイヤ交換。ところがアロンソのタイムが上がらない。6周目からそれまでと比較して0.7秒ほ どタイムが落ちる。特にマゴッツ・ベケッツ・チャペルの複合高速コーナーがあるセクター2でウェバーより0.5秒ほど遅く、これは明らかにタイヤに異変が あることを物語っていた。36秒後半で走るアロンソは1周1秒速いウェバーが追いつかれて抵抗するが、さすがに最後まで抑えきれずについに48周目に順位 を入れ替えられてしまった。

レース中に解説していた時には、アロンソのタイヤの寿命が持たなかったと思っていたのだが、実はアロンソはソフトタイヤでひどいアンダーステアを誘発し、 それでグレイニングを起こしていた。その為、特に高速の連続コーナーでアクセルを戻さざるを得ず、ウェバーに逆転を許してしまった。
今回、ソフトタイヤを履くとバランスがアンダーステアになることが他のチームでも確認されている。実はウェバーもそうで、彼はソフトタイヤからハードに履 き替える時、フロントウィングを寝かしてセットアップを修正している。これがその後のウェバーのいいペースを生み出した。果たしてフェラーリは変更してい たのだろうか。画像を見る限り変更している様子は見られない。この隠れたチーム作業もまた勝敗を大きく分けた要因である。

ただアロンソが最初の二つのスティントで、もう少し長く走っていれば結果はまた違っていただろう。というのも第一、第二スティント終盤、アロンソのタイム は悪くなかった。特に第一スティントはウェバーとの差に余裕があっただけに、もう少し引っ張っていた場合、レース結果がどうなったかは興味深い。

結果的に2位に終わったアロンソだが、それでも彼は素晴らしいドライバーである。というのも彼はウェバーに抜かれた後に、抜かれる前よりもいいタイムを記 録している。普通は終盤に逆転されると精神的に落ち込み、同時にタイムも落ち込むのだが、彼に限ってそれはない。もちろんシルバーストーンはフューエルエ フェクトが大きいことは影響しているが、誰にでもできる走りではない。そうして彼はベッテルから2位の座を守った。優勝できなかったから2位は簡単に見え るかもしれないが、抜かれた直後にペースが落ちていれば、ベッテルに脅かされることになっただろう。

▽    可夢偉 自滅で入賞逃す
最近、気になることがある。可夢偉が公の場でチームへの批判をしていることだ。もちろん彼はチームの耳に入らないように、日本語でだけ批判しているのだと 思う。だが彼もまたチームの一員である。ザウバーの作戦が保守的で、判断が悪く、作業ミスが多いことは誰もが認める。今回の予選でも大雨の中、可夢偉がレ インタイヤを要求しているにも関わらず、インターミディエイトを履かせ1周無駄にして、それがQ2落ちを招いたことも間違いない。

私はフェルナンド・アロンソがよく使う好きな言葉がある。彼は頻繁に「我々は改良しなければならない」とか「私たちは正しい方向に進んでいる」と発言す る。彼は「我々」という言葉を好んで使う。これはドライバー1人では何もできないことを彼がよく知っているからでもある。またチームだけを批判しても前進 も改良もしないことを理解しているからだ。

可夢偉はチームを公に批判することを止めなければならない。そうしても何も得ることがない。批判はチームに直接すべきである。彼はなぜザウバーにのってい るのだろうか。それは彼がトップチームにのれる実力があることを証明していないからである。だがライコネンはそれを証明し、マクラーレンへ移籍し、マッサ はフェラーリに移籍した。つまり可夢偉がザウバーに在籍しているのはそれが彼の今のF1界の位置づけなのである。残念ながらそれが現実である。であればそ れを証明することに集中しなければならない。

もちろん今シーズンはマシンもいいのに、結果がだせていない事もあるし、ペレスが表彰台を結果として残していることも影響しているだろう。チームに伝えな ければならないことは、伝えなければならない。でもそれは外部を通してではなく、直接伝えるべきである。それが超一流ドライバーへの道でもある。

今回の事故は可夢偉のミスである。それは彼も認めている。ただピットインを見ているとリミッター押して止まるだけだから、簡単に見えるがそうでもない。ド ライバーはリミッター走行中でも、ステアリングについているボタンを操作し、再スタートに備えている。だからかなり忙しい。それにとてもゆっくり走ってい るように見えるF1マシンだが、それでも80Km/hは出ている。しかも今回、土曜日に大雨が降り誇りっぽく滑りやすかった。しかもこの時は単独のピット インだったので、普通より角度を浅くピットに飛び込んだのだが、そこが普通走らないところだから、更に滑りやすかった。というわけでミスはいけないことな のだが、ピットインは我々が見ているほど簡単でないことだけはわかっていただきたい。

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