メルセデスのバトルなき1-2フィニッシュ
実に単調なレースではあったが、それでもメルセデスの楽勝ではなかった。まずこのコースは燃費に厳しい。最近はERS(エネルギー回生システム)の効率もよくなり100Kg以下しか燃料を搭載しないでスタートするレースも珍しくはないが、このコースは特別で、ルノーによると彼らは7%燃料が足りない。つまり彼らは107Kgの燃料がないと走りきれない計算になる。
もちろんメルセデスはこれよりも楽ではあると思われるが、それでも燃費が苦しいのには変わりがない。だから彼らも簡単に速く走って終わりという単純なレースではなかった。
さらにこのコースはブレーキにも負担が大きい。特に昨年からMGU-Kの回生量が多くなったことにより、リアブレーキのサイズが小さくなった。その為、より負担が増え、温度管理を厳密にしないと危険である。
そして昨年のメルセデスはERSのトラブルによりブレーキトラブルを発生させて、レースを失っている(その為に今年、彼らはエンジンカバーに改善を加えて、ERSの冷却能力を向上させている)。
だからハミルトンもロズベルグも1秒前後の差にあるのだが、燃料とブレーキが心配で2人ともプッシュができない、なんとも奇妙なレースになってしまった。1秒差であれば僅差で2人のバトルが期待されたのだが、今回は2人とも全くバトルをする余裕がなかった。2人ともペースを抑えて走っているので、大きなミスもなく淡々とレースは進行した。
ハミルトンはスタート直後と残り数周になり燃料の心配がなくなった時だけプッシュした。それ以外は非常に慎重に走っていた。
2人のタイム差は少なかったが、ロズベルグには勝機はなかった。
しかしこのようなレースは観客にとって、おもしろくない。コースで見ている人は何が起こっているのか全くわからないだろう。TV観戦している人も理解しにくい。
接近はしているがバトルは仕掛けない。これではドライバーにも観客にもフラストレーションがたまるばかりである。
ルール変更はもう待ったなしの状況である。
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