ピレリタイヤはタイヤの安全を確保するために、タイヤのキャンバー角に制限を設けた。
ではキャンバー角というのは何を意味するのだろうか?
マシンを正面から見て、タイヤがハの字の形になっているのをネガティブキャンバーと呼ぶ。
これはコーナーリング中に、マシンが傾くと(ロールするという)タイヤも外側に傾く。その時、ネガティブキャンバーがついてないと、タイヤのトレッドが傾き接地面積が減り、グリップが減る。
その為、あらかじめ真っ直ぐな状態で内側に傾けることにより、ロールした時に外側のタイヤが真っ直ぐに接地することにより、外側のタイヤの接地面を増やして、グリップを稼ぎ、コーナリングスピードを増すためのセットアップである。論理的にはキャンバー角をつけるとグリップは増える。だが直線部分ではタイヤのインサイド部分だけが路面と接するので、その部分だけ熱を持ち、ブリスターが発生したり、構造が見えてしまうこともある。タイヤの安全を担保するために、タイヤメーカーは推奨するキャンバー角の範囲を提示する。
どの程度のキャンバー角をつけるかは基本的だが重要なセットアップの項目である。
イタリアGPでは、初めて車載のサーモカメラが搭載され、タイヤの温度変化が見られて興味深かった。直線部分ではタイヤのインサイド部分だけが熱く、コーナーでは外側のタイヤだけが熱くなる。さらにはタイヤに優しいフォースインディアはキャンバー角が少なく、レッドブルは大きいこともこのカメラで明確にわかった。とても興味深い。
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