ここで勝利を逃せば逆転チャンピオンは不可能。それは彼も理解していた。そして彼は必ず勝たなければならないレースに勝利した。それは素晴らしい結果である。
だが思いもよらない事態により勝利の喜びは半減した。最後尾スタートだったハミルトンが表彰台に登ったからである。ハミルトンはミディアムタイヤでスタートして前を走るソフトタイヤのマシンが先にタイヤ交換する際に上位に進出する作戦だった。
そしてそれはマグヌッセンのクラッシュによるセーフティカー登場で大成功を収めることになる。この時点で5
位まで進出したハミルトンとロズベルグとの差は数秒しかなく、ハミルトンにとっては理想的な展開となった。ロズベルグはソフトタイヤでスタートしており、先にロズベルグがタイヤ交換すれば順位は入れ替わる。
だがここで予想外の事態になる。マグヌッセンのクラッシュが酷くタイヤバリアが変形したので、それを修復するために赤旗中断となった。こうなるとタイヤはタイムロスなく交換できる。ここでロズベルグはミディアムに交換。そしてこの日は暑い天候もあり、ミディアムがベストのレースタイヤだった。
これによりハミルトン奇跡の逆転優勝は幻に終わったが、それでも最後尾スタートのハミルトンはレース前によくて5位位と考えていただろうから、上出来の結果となった。
ハミルトンはシーズン後半に向けて3基のパワーユニットを得ることに成功。三年連続のチャンピオン獲得に向かって大きく前進した。