正直言うとボッタスはもう少しハミルトンに肉薄するかと予想していた。
フェラーリが今年実力をつけて、メルセデスに接近しているのは間違いない。
だがハミルトンがポールポジションを獲得しているにも関わらず、予選三位はいただけな い。
昨年のロズベルグも予選でハミルトンの後塵を拝することが多かったが、それでも確実に 二位は確保していた。
だから昨年ハミルトンがスタートでミスしても、PU が壊れても、確実にロズベルグが勝利
を得ていた。そしてロズベルグはチャンピオンになった。
だが今回のようにボッタスがベッテルより後ろを走るとなると、ハミルトンにトラブルが あったときに勝つのはベッテルになる。
これはメルセデスの作戦選択にプレッシャーを与えるし、そうするとミスも多くなる。
昨年までの傾向を見ていると、フェラーリの方がメルセデスよりもタイヤに優しい。
そう考えるともっと高温のサーキットになるとフェラーリはさらに優位である。
ボッタスは一見幸福のように見える。
世界最速のマシンを手に入れて、あとは結果を残すのみである。
だがもし彼がメルセデスで成功しなければ、彼はチャンピオンになれない男として、人々の
記憶に残る。
勝てないマシンに乗っている限り、言い訳はいくらでもできる。
ウィリアムズで勝てという人間はいない。
ウィリアムズで勝つことは極めて難しい。
ほぼ不可能である。
だがメルセデスは違う。
勝つのが当たり前のチームである。
そのメルセデスで勝てないとなると、ボッタスの評価は急降下である。
彼の今後の F1 人生が今年の前半にかかっている。
ボッタスの契約期間はたったの 1 年。
今年の最後まで時間があると考えるのはかなりあまい。
今年の前半に結果が残せなければ、当然メルセデスは後任探しに動く。
幸か不幸かベッテルやアロンソは今年で契約が切れる。
ボッタスはいきなりがけっぷちに立たされてしまった。