
また彼らはターボのタービンとコンプレッサーをエンジンの前後に離して搭載していると言われている。これにより高温の排気ガスが通過するタービンの熱をコンプレッサーに伝わるのを防ぐことができる。
ターボとは排気ガスをタービンの羽根車に当てて回転させ、同軸上に連結されたコンプレッサーの羽根車で空気を圧縮するのが基本原理である。だが空気は熱せられると体積が膨張するので、冷やせばより多くの空気を圧縮でき、多くのパワーを得ることができる。空気を冷やす機器をインタークーラーと呼ぶ。
ただ今のF1は使用できる燃料の上限値(1レース100kg)が決まっているので、あまり冷やしすぎて空気を圧縮しても意味がない。だからメルセデスはそれをインタークーラーの小型化として有効活用している。サイドポンツーンに設置されるインタークーラーを小さくできれば、それだけサイドポンツーンを小型化でき、抵抗はより小さく、ダウンフォースはより大きくできる。抵抗が小さくなれば、燃費も改善するのは当然である。
タービンとコンプレッサーを前後に分割することで、その中間にMGU-Hのモーターを設置することができる。その為、彼らはここにクラッチとギアを組み入れて、適切な管理をして、より多くのパワーをMGU-Hから得ているとも推測される。
ただこれも簡単に実現できるわけではない。通常ターボのレイアウトはタービンとコンプレッサーが隣接している。理由はタービンとコンプレッサーを接続しているシャフトが短くて済むからである。メルセデスのように二つのユニットを前後に分けて設置するとシャフトが長くなり、強度を保つのが難しくなる。また強度を保つためには、シャフトを強化する必要もあり、そうすると重量増を招くというデメリットも出てくる。
それでもメルセデスがこのレイアウトを採用したのは、採用するだけのメリットがあると彼らが考えたからである。
例えばタービンとコンプレッサーを分離することで、排気ガスで熱せられるタービンの熱をコンプレッサーへ伝わらないようにできる。空気を圧縮するコンプレッサーが熱くならなければ、当然その空気を冷やすインタークーラーは小さくていいわけで、そのスペースが小さくて済む。スペースが余れば、その分、ボディカウルを絞り込むことができるわけで、空力性能がアップして、ダウンフォースが増えて、速く走れるわけである。
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