
MGU-Hを有効に活用できると、もう一つのメリットがでてくる。それはMGU-Kを全て使わなくてもいいということである。
彼らはMGU-Hから多量のパワーを絞り出すことができるので、MGU-Kへの依存度が少ない。これはどういう意味かというとMGU-Hから多くの電気を発生できるので、MGU-Hの電気で直接MGU-Kのモーターを駆動することができる。
MGU-Kは発電した電気を一度バッテリーに貯蔵してから使用しなければならないが、MGU-Hは発電した電気で直接モーターを駆動することが可能である。
そうするとMGU-Kをフルに使う必要がない。つまり彼らはMGU-K用のバッテリーを小さくすることできる。これは大きなメリットである。バッテリーの重量は20kg~25kgと決められているので、ここを例えば5kg他より軽くできれば一周当たり約0.15秒稼ぐことができる。
この発想はなかなか見事である。使えるMGU-Kを全て使おうとするのが、常識である。だが彼らはそう考えはしなかった。あくまでもマシン全体で見た時に、どうすればパフォーマンスが上がるのかを考えた結果である。
これは言葉では簡単であるが、実行するのは難しい。これもマシンとパワーユニットを同時に開発できるメルセデスだからできる成果である。