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2006 Rd.15 イタリアGP観戦記 それでもアロンソがチャンピオンになる

▽不愉快なペナルティ イタリアGPは予選終了後に不可解なペナルティがアロンソに課され、不愉快な気分のまま決勝レースをむかえた。 それは予選第三ピリオド、アタック中のマッサの前をアウトラップのアロンソが走っているときに起こった。 スチュワードは前を走るアロンソがマッサのアタックを妨害したとして、アロンソの第三ピリオドのラップタイム上位3位までを無効にした。 実質2回しかアタックしていないアロンソは、それにより予選10位に沈んだ。 しかし、これは誰が見てもおかしい。 アロンソは最初のアタックラップでタイヤがバーストし、スロー走行を余儀なくされピットへ戻った。 その為、通常より時間がかかり最後のアタックは、第三ピリオド終了時間に間に合うかぎりぎりのタイミングとなった。 アロンソは終了時間直前にアタックラップへ突入しようと、アタックラップとほぼ同程度のタイムでそのアウトラップを走っていた。 実際、残り2秒で最後のアタックに入っているので、アロンソはアウトラップとはいえ、速さ的にはアタックラップと遜色のないタイムだった。 VTRで見る限り、アロンソはマッサと一定の間隔を保っている。 アロンソがアウトラップで、マッサがアタック中だったとはいえ、アロンソはマッサに直接的には全く影響を与えておらず、このペナルティは不可解だ。 この手のペナルティは実際、アタック中に邪魔したかどうかが争点となるべきであり、その意味では今回は全くペナルティに当たらない。 フェラーリはアロンソのマシンの挙動が不安定だったと言い、それがタイムロスにつながったと申し立てているが、まったくナンセンス。 お話しにならない。 百歩譲ってフェラーリの言うとおり、アロンソのマシンの挙動がおかしかったとしても、マッサはアロンソの数百メートル後ろを走っていたわけであり影響などないし、あるとしたらそれは、単純にマッサ個人の責任だ。 マッサがあの状態でアタックを邪魔されたというのであれば、第一ピリオドや第二ピリオドでは邪魔されまくっていることになる。 もっとも、今回はマッサが言いだしたというより、フェラーリチームがダメ元で提出した抗議が、地元イタリアと言うこともあり採用されただけだと思うので、マッサに罪はないだろう。 レースでしっかりミハエル・シューマッハーをサポートしなければいけないマッサだが、今回もそれを果たせなかった。 やはりアロンソとマッサでは役者が違う。 ▽それでもアロンソがチャンピオンになる このペナルティのおかげでイタリアGPはスタートから、すっきりしない気分でレースを見ていた。 しかし、そんな気分を吹き飛ばしてくれたのが、そのアロンソの走りだ。 アロンソは10位からスタートしたにもかかわらず、着実に順位を上げ、二度目のピットストップ前には三位を走るクビサと僅差の4位。 そして、二人は同時に二回目のピットストップを実行。 同じ燃料量を補給する二人の順位は変わらないはずだったが、ルノーのピットクルーはほんのわずかBMWより速くピット作業を終了。 アロンソとクビサはピットレーンを併走する、まさにサイドバイサイドのバトル。 しかし、速度制限区間を超えた瞬間、アロンソが猛ダッシュ。 僅差でクビサをかわして三位に浮上。 これで、6ポイントを獲得しペナルティのダメージを最小限度にできたと思われた直後にエンジンがブロー。 なんとも惜しいレースを失ってしまった。 ルノーの決勝レースでのエンジンブローは3年ぶり。 信頼性抜群のルノーとしては、まさかのレースとなってしまった。 これで、優勝したミハエルとの差はわずかに2ポイント。 アロンソは絶体絶命になったと思われるかもしれないが、それでも私はアロンソがチャンピオンになると思う。 その根拠は、どんな状況においてもアロンソが速くかつ安定した走りを見せてくれることだ。 今回のレースで意味不明のペナルティを受けながら、エンジンブローするまで激しくそして、粘り強く3位にまで浮上したその走りは素晴らしいの一言。 彼のミスのない走りと冷静さはF1界でも特筆すべきモノがある。 彼のこの能力は時にはミハエル・シューマッハーさえも凌ぐ。 今回のリタイヤ後も、冷静にマシンを降りて、平然と受け止めている。 普通であれば、怒り狂うところだ。 このレース以外でもアロンソは圧倒的な不利な状況を、自分自身で考えペースを調整し、何度もルノーを優勝もしくは上位入賞に導いている。 今回はペナルティがなくても、タイヤバーストでリアのボディワークを破損し、条件的にはかなり厳しいアタックだったはずだが、それでも5位のタイムをマーク。 奇数列スタートなので、いいレースが期待されていたのを、不可解なペナルティに取り消され、偶数列からのスタートで、それでも3位まで浮上したのだ。 その精神力は感服するしかない。 ペナルティがなければ、エンジントラブルが出ていたかどうかは見解が分かれるだろう。 少なくとも5位からスタートしていてもミハエルとライコネンに対抗できる可能性は低かったが、もう少しエンジンをいたわって走ることはできたはずだ。 それがあればエンジンが最後まで持ったかどうかは、今となってはわからない。 アロンソは最新のDスペックを搭載していたので、どちらにしてもトラブルは起こっていた可能性はある。 意味不明なペナルティにより、レース自体への興味が薄れてしまったのは残念だ。 FIAはチャンピオンシップをおもしろくしたがっているのかもしれないが、全く逆の効果を生み出している。 願わくばミハエル・シューマッハーとアロンソ、共にペナルティを受けることなく残り3戦を戦い、コース上で勝負をつけて欲しい。 今後はタイヤが重要なファクターになると思うが、暑い季節が終わり残りの三戦はこれまでと流れが変わるのではないかと思っている。 果たしてどうなるか、残り三戦目が離せない。 ▽ホンダとBMW あまりにも激しいアロンソの走りに隠れてしまったが、ホンダも二台が三戦連続入賞した。 しかし、問題点は解決していないようだ。 オープニングラップでもタイヤの暖まりが悪いバトンはマシンを左右に振ってタイヤを暖めようとしていた。 一度目のストップではアロンソの前で復帰したが、アウトラップでペースが伸びずあっさりとアロンソに抜かれてしまう。 ルノーは今回、ハードなタイヤを選択しており1周目はホンダと同じくタイヤ温度が上がりにくかったにも関わらず、ほとんど抵抗もできずにパスされてしまった。 これを見ると相変わらずタイヤ温度を上げられずに苦労しているようだ。 モンツァでは、ウィングを極限まで薄くするが、ブレーキング時にはダウンフォースが必要になる。 そこでマシンの下面でいかに多くのダウンフォースを獲得できるかが鍵になるが、ホンダはそこの部分が劣っているので、これ以上の成績は望めないだろう。 残り三戦は涼しくなることが予想されるので、さらに厳しいレースになるだろうが、もはやここまで来たら大幅な進歩は望めないので、来シーズンに賭けるしかない。 佐藤琢磨はグリッドに付く途中で油圧計のトラブルが発覚し、スペアカーに乗り換えピットスタート。 途中まで良いペースで走れていたが、20週目あたりでタイムが2秒近く落ちる。 なんと、フロアが剥離しておりダウンフォースがかなり失われていた。 信じられないような製造品質だが、クラッシュなどにならずによかった。 モンツァはマシン下面で発生させるダウンフォースが唯一マシンを安定させる命綱。 それが相当失われたのだから、琢磨は運転していて相当苦労しただろう。 この高速サーキットで無事に走り切れた幸運を感謝しよう。 今回はBMW勢が好調だった。 もとよりモンツァはF1カレンダー随一の高速サーキットであり、エンジンパワーが勝負を決める。 BMWエンジンのハイパワーは有名だが、ここ数戦はマシンの安定性も増してきて、それが結果に表れている。 今回もトップスピードは二台ともトップクラスだったが、ブレーキングでも安定しており、それがクビサの初表彰台につながった。 それにしても、いくらマシンがいいとはいえ、この高速サーキットでマッサを押さえ続けての3位は価値がある。 インタービューを見ていると、まだまだあどけなさが残るがビルニューブを切ったBMWの決断は今のところ当たっているようだ。 ▽ミハエル・シューマッハー引退 彼の引退は既に噂されていたが、レース後のミハエルの態度を見ていて確信した。 地元のイタリアGPとはいえ、レース後何十人ものスタッフと抱き合い、喜びを分かち合っていた。 通常は数人のスタッフと喜ぶだけだから、その態度を見てこれが彼の最後のイタリアGPなのだと。 そして、それは優勝の記者会見で発表されました。 私は彼のファンではありませんでしたが、それでも感慨深いモノがありました。 あのサイボーグのようなミハエル・シューマッハーが感情をあらわにしていました。 彼はまさに時代を代表するドライバーであり、偉大なチャンピオンでありました。 もっともその強さと存在感の大きさ故の批判も多かったのですが、それでも彼が史上最強のドライバーであることを認めない人はいないでしょう。 90勝を挙げるドライバーは後にも先にも彼ただ一人でしょう。 あと1年やれば100勝も夢ではなかったでしょうが、今年限りで引退します。 彼のすごさはいろいろありますが、私が最も感銘したのはマシンが燃料を積んだ重い状態でタイムを出す能力です。 軽くなると誰でも良いタイムを出せるのですが、重い状態でタイヤを痛めないように速く走る技術は特筆でした。 一方、彼の影の部分はかなりきわどいブロックをするところです。 実際、チャンピオン争いの決定的な争いの中で、何回も接触しています。 これと同時にライコネンのフェラーリ入りが発表されました。 これによりトップチームのシートはマクラーレン以外、全て決まりました。 来シーズンからはマタドール・アロンソの時代になるのでしょうか。 それともアロンソ対ライコネンになるのか。 興味はつきません。

2 thoughts on “2006 Rd.15 イタリアGP観戦記 それでもアロンソがチャンピオンになる

  1. スポーツ瓦版

    F1イタリアGP女神は去りゆく皇帝の味方なのか

    F1第15戦イタリアGPアロンソとシューマッハ12P差の
    ポイント争いの動向とM.シューマッハの去就が注目である

    予選はPPをライコネンが獲得し2番手M.シューマッハで
    3番手ハイドフェルド4番手マッサ5番手バトンになった

    アロンソはマッサを妨害

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