Formula Passion : F1 コラム&ニュース

フェルスタッペンの苦闘:アゼルバイジャングランプリで見えたレッドブルの課題

Max Verstappen Oracle Red Bull Racing RB20

2024年のアゼルバイジャングランプリで、マックス・フェルスタッペンは通常とは異なる苦しい戦いを強いられました。彼はレース後のインタビューで、自身のレッドブルRB20がいくつかのコーナーでホイールが地面から浮き上がるほどの挙動を見せたことを明かしました。これは、シーズンを通して安定感のある走行を誇ってきたフェルスタッペンにとって非常に珍しい事態です。

レッドブルはここ数戦で、マシンのハンドリングに関してドライバーたちが不満を抱えていたことを踏まえ、一連の変更を施してきました。特にアゼルバイジャンでは、マシンの挙動改善に向けたアップデートが施され、チームはその成果に満足していました。しかし、フェルスタッペンは予選前のセットアップ変更がバランスを崩したと感じており、レースではその影響が顕著に表れました。

レース後、彼は「全く楽しくなかった」と振り返り、車が跳ねるような感覚に悩まされたことを述べています。低速コーナーではホイールが浮き、ブレーキング時にはマシンが滑るといった問題が続出し、タイヤが路面に十分に接触しないためラップタイムを大きく失う結果となりました。これにより、彼はレース中にセルジオ・ペレスを追いかけることができず、最終的にはランド・ノリスに追い抜かれるというレースが展開されました。

特に注目すべきは、フェルスタッペンがランド・ノリスに対して抑える力が全くなかった点です。ノリスはミディアムタイヤ、フェルスタッペンは使い古したハードタイヤでレースを進めており、燃料の軽い終盤戦ではノリスに有利な状況が整っていました。フェルスタッペンも「良い状況ではなかった」と語り、タイヤの劣化や燃料の問題が追い打ちをかけていたことを示唆しています。

レース終盤、レッドブルはフェルスタッペンをピットインさせ、ソフトタイヤで最速ラップを狙う戦略をとりましたが、ペレスのクラッシュによってそのチャンスを逃す結果となりました。これにより、最速ラップのポイントはノリスが獲得し、フェルスタッペンは自らのライバルに対して手痛いポイントを許す形となったのです。

今回のレースは、フェルスタッペンとレッドブルにとって今シーズンの中での苦しい瞬間を象徴するものでした。彼らはこの課題を克服し、次戦に向けてさらなる改善を施す必要がありますが、このレースが彼らのチャンピオンシップ争いにどのような影響を与えるか、注目が集まっています。