F1カタールGPの金曜日の走行は、マクラーレンのランド・ノリスが素晴らしいパフォーマンスを披露し、ルサイルサーキットを支配しました。スプリント予選の全セグメントでノリスがリードを奪い、マクラーレンの勢いが増す中、ジョージ・ラッセルは最終的にオスカー・ピアストリを上回り、マクラーレンのフロントロー独占を阻止しました。この展開は、今週末のスプリントレースや日曜日のグランプリに向けて、非常に興味深い布石となっています。
ノリスが見せた圧倒的な速さ
ランド・ノリスはスプリント予選を通じて圧倒的な速さを見せ、マクラーレンのマシンがこのサーキットの特性に合っていることを証明しました。ノリスはSQ1とSQ2でミディアムタイヤを使用して最速タイムを叩き出し、SQ3ではソフトタイヤでそのペースを維持。ミスにより最後のアタックラップを諦めざるを得なかったにもかかわらず、その実力は十分に発揮されました。特に中速コーナーでの速さは他チームを凌駕し、レッドブルに対しても0.4秒のアドバンテージを持っています。
しかし、ノリスの後方にはジョージ・ラッセルが控えており、メルセデスの実力も見逃せません。ラッセルはラスベガスGPでの勝利の余韻を引き継ぎ、再びトップを狙う姿勢を示しましたが、マクラーレンの強力なパッケージに対抗するにはさらなる工夫が必要です。
フェラーリの追撃
フェラーリもまた注目すべき存在です。カルロス・サインツとシャルル・ルクレールは、スプリント予選でそれぞれ4位と5位に終わりましたが、フリー走行では悪くないペースを示していました。サインツはSQ3でのアンダーステアの問題やアウトラップでのフェルスタッペンとの遭遇を悔やみ、ルクレールは細かなミスが重なったものの、依然としてレースペースには自信を持っています。
ロングラン分析では、レース距離全体を通じて両チームの接戦が予想され、フェラーリはマクラーレンに対してわずか0.02秒のアドバンテージを持っています。ただこの差はあってないような僅差なので、そうすると土曜日の予選での結果が重要になってきます。
フェラーリが1周のパフォーマンスを向上させれば、日曜日のグランプリでの優勝争いに加わる可能性は十分にあります。彼らがどのようにセットアップを調整し、マクラーレンに挑むかが鍵となるでしょう。
ラッセルの挑戦とメルセデスの現状
ジョージ・ラッセルは金曜日のスプリント予選でフロントローを確保し、マクラーレンの間に割って入る形となりました。メルセデスのW15はラスベガスでの勢いを持続させており、ラッセルの速さは今週末のレースでも重要な要素となりそうです。しかし、ルサイルでのロングランデータによると、メルセデスはトップから0.38秒遅れの4番手に位置しています。
ルイス・ハミルトンは最近の1周ペースで苦戦しており、7位に終わりましたが、ラッセルの活躍がチームにとっての希望となっています。特にメルセデスのストレートスピードのアドバンテージは、ルサイルのターン1へのオーバーテイクポイントで有利に働く可能性があり、ラッセルがどのようにその利点を活かすかが注目です。
レッドブルの苦戦とフェルスタッペンの現実的な視点
一方、レッドブルはカタールでのスプリント予選で4番手に甘んじ、フェルスタッペンは現実的な視点を持って金曜日を振り返りました。RB20は高速区間では速さを見せたものの、エントリーからミッドコーナーの区間で弱点が露呈し、最終的に6位に終わりました。セルジオ・ペレスはアンチロールバーの問題や最後のアタックラップでのセクター1の交通渋滞によって時間を失い、、SQ1からの脱出に失敗しました。
ロングランデータでもレッドブルは3番手に位置していますが、マクラーレンやフェラーリに後れを取っています。フェルスタッペンは一夜での改善には期待していないものの、土曜および日曜のレースでどの程度巻き返せるかが注目です。
ミッドフィールドの激戦
アルピーヌ、ハース、そしてレッドブルは、コンストラクターズ選手権のP6争いにおいて激しい戦いを繰り広げています。特にアルピーヌのピエール・ガスリーはSQ3での好調な走りを見せ、ミッドフィールドでのリードを確保しました。ガスリーはラスベガスでの驚きの予選3位に続き、今回も安定した速さを発揮しています。
ロングランデータによれば、アルピーヌはこの集団の先頭に立っており、ハースやウィリアムズも含めた5チームがわずか0.21秒以内に収まる接戦を演じています。これにより、週末の展開は非常に予測が難しく、どのチームが最終的にポイントを獲得するかが大きな焦点となるでしょう。
ピレリタイヤの視点
金曜日の走行を終えてピレリタイヤのチームエンジニアである、シモーネ・ベッラは「今日は非常に興味深く、いくつかの面で驚きのある1日だった。最も注目すべきデータは、昨年と比較した際のラップタイムの大幅な改善だ。フリー走行では非常に大きな改善が見られ、スプリント予選でもわずかではあるが依然として有意な改善があった。これは低い気温や路面の状態改善、さらに2023年と異なり、今年はF1セッション前にサポートレースが行われたため、路面にゴムが乗ったことが主な要因と考えられる」と語っている。
さらに「予想通り、周回を重ねるごとにパフォーマンスは非常に速く向上した。フリー走行でもスプリント予選でも同様だ。これまでのところ、グレイニングは予想よりも少なく、パフォーマンスの劣化も非常に限定的だ。このため、チームが1ストップ戦略に傾く可能性が高まっている」と状況を分析している。
「この観点からすると、明日のスプリントレース中のタイヤ挙動を確認することが重要になる。今日のセッションでは、燃料を多く積んだ状態でのロングランを実施したドライバーはほとんどいなかったからだ。短距離のレースにおいては、ミディアムが最も現実的な選択肢となる可能性が高いが、2023年と同様に、C3(ソフト)が今日のような気温で理想的な作動ウィンドウを持つため、完全に除外することはできない」とスプリントレースでのタイヤの分析が重要になると述べている。
週末の展望
今週末のカタールGPは、マクラーレンとフェラーリのトップ争い、ラッセルによるメルセデスの挑戦、そしてレッドブルの巻き返しといった多くの見どころが揃っています。特に、マクラーレンの速さがどこまで持続するか、フェラーリがどのように対抗するかが最大の注目ポイントです。また、ミッドフィールドにおける激しい戦いも見逃せません。
金曜日の結果から、ノリスが週末を通して優位に立つ可能性が高いものの、フェラーリやメルセデスが戦略やセットアップでどのように巻き返すかが鍵を握っています。全チームがデータを基にさらなる改善を図る中、カタールの過酷なコンディションがどのように影響するかも見ものです。
カタールの砂漠の夜に繰り広げられる激戦。果たして栄光を掴むのは誰なのか、週末の結末に注目です。