シーズン序盤のキミ・ライコネンの成績の悪さは運に恵まれていないと言われているが、チームは現時点で、キミはアロンソより遅いと考えている。
注目が集まっていたこの2人のワールドチャンピオン同士の組み合わせであるが、今のところアロンソの圧勝となっている。アロンソはこれまでの6レース全てでライコネンより上位でフィニッシュしており、アロンソはライコネンに対してドライバーズポイントで44点の差をつけている。
アロンソのドライバーズランキングはなんとメルセデスの2人に次ぐ3位。ライコネンは12位でしかない。アロンソの3位はマシンの性能を考えるとあり得ない順位である。しかもアロンソはすでに表彰台を一度獲得している。
ただライコネンはモナコで、セーフティカー中にチルトンと接触してタイヤ交換するまでは3位を走っており、表彰台は目の前にあった。この時、ライコネンはチルトンが周回遅れを取り戻すことを伝えられておらず、接触した。このようなケースは、ピットから注意するように警告されるのが通常である。
しかし、フェラーリのテクニカルディレクターであるジェームズ・アリソンは、ライコネンはアロンソよりペースが遅いことをほのめかしている。
「キミがフェルナンドより苦しんでいるというのは公平ではないかもしれない」とアリソンは述べた。
「彼ら2人は同じようなフィードバックをくれるし、今年のマシンはダウンフォースが減り、パワーユニットのトルクは増え、タイヤはグリップしないので、運転が難しい」
「それは運転が難しい事を意味している。誰にとっても簡単なことではない。キミにとっての問題はブレーキングとシフトダウンにあるが、フェルナンドも他のドライバーも同様の問題を抱えている」
「現時点ではキミはフェルナンドより遅いが、シーズンが進むにつれ差は縮まってきている」
ライコネンはフェラーリの最後のドライバーチャンピオンで2007年にそれを獲得している。それ以来、フェラーリはタイトルを獲得していない。
ただキミは他のドライバーよりも繊細である。だからほんの少しのフィーリングの違いも感じてしまい、攻めて走ることが難しくなる。アロンソはその点、どんなマシンでもそれなりに乗りこなせる引き出しの多さが、彼の優位な点となっている。
だが一度セッティングが決まれば、彼が速いのは昨年を見ても間違いがない。だから私はなにも心配していない。今年のマシンはブレーキバイワイヤーなども導入され、減速時にドライバーの感覚とずれているケースも多く見られる。レッドブルのベッテルも同様の悩みを抱えている。
このブレーキング時のフィーリングはとても微妙で繊細である。F1ドライバーはブレーキングで曲がると言っても過言ではない。
シーズン中に開発が進むにつれ、この違和感は徐々になくなっていくと思われるが、問題がひとつある。それはアロンソが乗りこなせていることである。
フェラーリが見込みのない今年のマシン開発を諦めて、来年のマシンにリソースをシフトした場合、この問題はシーズン末まで尾を引く可能性もあり、その場合ライコネンは厳しい立場になる。