マッサ勝利の方程式 トルコGP観戦記
マッサが得意のポール・ツゥ・ウィンを成し遂げた。
今回は、スリーストップのハミルトンに一時トップを譲ったが、最後は逆転してトルコGP三連勝。
ただマッサの問題は、毎回同じことを繰り返すことができないことである。
もっとも、毎回ポール・ツゥ・ウィンができないのは当たり前であり、他の誰もが同じ。
彼とライコネンの違いは、それ以外のパターンになった時に見せる、応用力の違いである。
それ以外のパターンでも、勝てるライコネンと勝てないマッサの差は、一年を通じれば大きい。
だが、このマッサの勝利で、チャンピオン争いはおもしろくなってきた。
ライコネン35ポイントで、マッサとハミルトンが28ポイント。
フェラーリ同士がポイントを食い合っていると、ハミルトンにもチャンスが出てくる。
一方のライコネンは土曜日から、うまくいかなかった。
まず予選Q3の最後のアタックで、ミスをして予選4位に沈んでしまう。
偶数列の4位でスタートした、ライコネンはスタートで出遅れ6位にまで落ちる。
さらに、第一コーナーでコバライネンと接触。
コバライネンがタイヤをパンクしピットインして、順位を上げられたのは幸運だったが、接触の際にフロントウィングの翼端板を壊して、バランスを崩してしまった。
その為、レースを通じてペースが安定しなかったが、我慢強く走り切り三位に入賞。
貴重な6ポイントを獲得した。
予選終了後に、ライコネンはポイント獲得を目指すと発言していたが、レース前にこのようなコメントをするのは、少々驚きである。
以前も、レース終了後はポイントを取れて満足だと言う発言はあったが、レース前のこの発言は、チャンピオンをかなり意識している。
まだ、開幕5戦目にしての、この発言は昨年チャンピオンを取ったことと無縁ではないだろう。
昨年、1ポイント差でチャンピオンになったライコネンは、その1ポイントの重みがわかっている。
もう一人の主役である、ハミルトンはソフトタイヤでのバランスに苦しんだのと、タイヤに厳しい彼のドライビング・スタイルを考えてブリヂストンが推奨した、スリー・ストップ作戦で臨んだ。
軽めのマシンながら、第一スティントはマッサに迫る勢い。
最初のピットインでは、抜けなかったがコース上でマッサを鮮やかにパス。
特に、この第二スティントでバランスのよかったハミルトンは一時、フェラーリをあわてさせた。
トルコでは、フェラーリの1-2が固いと思われていたが、ハミルトンの頑張りで、一角を崩して、二位に入賞。
ライコネンのトラブルがあったにせよ、素晴らしいハミルトンの走りだった。
昨年の輝きが戻ってきた。
チームメイトのコバライネンは、予選二位と自己最高位をマークしたが、スタート直後の接触で、最後尾に転落。
惜しいレースを失った。
そして、レース後に、マクラーレンの人間が少し気になることを言っている。
コバライネンはマッサより燃料搭載量が多く、もし余分なピットインがなければ勝てていたというのである。
にわかには信じがたい話ではあるが、もしそれが本当ならコバライネンの予選アタックは相当すごい計算になる。
BMWは二台とも4位と5位に持ってきたが、レースペースでは上位二チームについていけなかった。
毎レース、きっちりと二台とも成果を残すのは、なかなか難しい。
次のモナコで、どこまでBMWがやれるのか、注目してみたい。
▽不運な中嶋と冴えないホンダ
中嶋一貴はスタート直後、フィジケラに後方から追突されて、万事休す。
あれは避けようがない、事故だったので仕方がない。
追突時にフィジケラに乗り上げられたが、怪我がなくてよかった。
ただ、後方からのスタートしたことが、この事故につながったことを考えると、いまだに予選のアタックを苦手にしている、中島一貴にも責任がある。
ホンダのバリチェロは出走数の記録を塗り替えたが、それ以外に目立つところはなく、14位。
車体に記念のステッカーが貼ってあったが、他にすることはないのだろうか。
別にステッカーが貼ってあったからと言って、速さには関係ないが、少しピントが合っていないように思うのは私だけであろうか。
バトンも11位と、今回はルノーやレッドブルに完全にやられてしまった。
特にレッドブルのウェバーは四戦連続入賞と、第2グループの先頭に躍り出た。
Q3も常連となり、ホンダは苦しい立場である。
最近のバリチェロのパフォーマンを見ていると、来年の琢磨のシートは確実かと思うのだが、ここへ来てバトンのBMW移籍の噂などもあり、いやな感じである。
これは、2005年の時と似た状況だ。
当時はバトンがウィリアムズと契約があり、ホンダはバトンがいなくなったことを考え、バリチェロと契約。
結局、バトンは違約金を支払いホンダに残留し、琢磨のシートがなくなった経緯がある。
果たして、今回、ホンダはどう判断して行動するのか。
ニック・フライ、ロス・ブラウンそして本田技研側の思惑が錯綜しそうである。
バリチェロの獲得は完全に失敗だった思うのだが、この件は誰が責任者なのか見えてこない。
どのような結末を迎えるにせよ、責任者が誰かを明確にして、やらないと間違いを何度も繰り返すだろう。
このチームの本当の責任者は誰なのか、よく見えてこない。
▽モナコの予想
最後に、モナコGPの予想を少ししてみよう。
モナコGPはきわめて特殊なコースであり、マシンが多少悪くてもドライバーの腕でカバーできる。
本当のドライバーズサーキットであり、ここで勝てるドライバーは限られている。
そう考えると、勝てるのは次の三人に限られる。
ライコネン、ハミルトン、アロンソ
ただ、いくらモナコがマシンの性能差が出にくいとはいえ、アロンソが勝つのは難しいだろう。
残る二人のうち、どちらが勝つか。
スタート順位が絶対的な意味を持つモナコでは、予選がもっとも重要。
そうなると、タイヤの温まりにくいフェラーリは少し遅れをとりそうである。
なので、私の予想はハミルトンとしておこう。
それとも、大番狂わせで、コバライネンの初優勝か?
一年で一番華やかなモナコGPを楽しみにしたい。
- 鈴木亜久里の冒険の終わり その二
- 佐藤琢磨の未来
静岡のてつ、と申します。スーパーアグリの検索で、辿り着きました。琢磨、早く復帰させて欲しいです。また、読ませてもらいます。