スペインGP観戦記 フェラーリとBMWの光明
▽フェラーリの希望
ヨーロッパラウンドの幕開けを告げるスペインGP。
それに合わせて大幅なアップデートをしてきたチーム、フェラーリとBMWは、まずまずの結果となった。
リア周りを中心に、マシンを大幅にモディファイして、スペインに乗り込んできたフェラーリ。
彼らは、ハイドロリックや電気系の配線、サスペンションのレイアウトまでも変えて、二層式ディフューザーを装備したマシンを持ち込んだ。
開幕遠征4レースでは大幅なアップデートを見送ったフェラーリの回答が、このマシンとなる。
結果としてマッサは予選4番手から終盤まで3位をキープし、最後に燃料補給のミスによりスローダウンを余儀なくされたが、今期初入賞。
ライコネンはトラブルにより予選Q1で敗退したものの、レースでは序盤の混乱を切り抜け10位を走行中に、ハイドロリックのトラブルでリタイヤ。
このトラブルは、二層式ディフューザーを装備するためにハイドロリックの配線を大幅に変更してきた為に発生したトラブルだろう。
今年はシーズン中のテスト走行が、原則禁止されている。
制限された距離の直線を走行することだけが、許可されている。
彼らはシステムチェックのために直線を使用したテストは実施したが、この改良型マシンでロングランは初めての経験であり、不安視されていた信頼性のトラブルに見舞われた。
フェラーリはブラウンGPには及ばないものの、競争力の向上が確認できたレースとなった。
今年はシーズン中のテストが禁止されているので、こうしてレースを通じて、パフォーマンスの向上をしていくしかない。
フェラーリの新しいディフューザーを見ると、二層式にはなったものの、効率はあまり良くはなさそうである。
ディフューザーの形状は、フィンの数と位置以外は変更がなく、その上に二層目のディフューザーを備えている。
二層式ディヒューザーの形状は、トヨタに似ているがトヨタのように、衝撃吸収構造を上に持ち上げているわけでもない。
彼らとしても、衝撃構造構造を変更したいはずだが、間に合わなかったのと、軽量化を優先したのだろう。
ブラウンGPに対抗するには、もう一工夫欲しいところだ。
▽BMW 一筋の光明
悲惨な開幕4戦だったBMWも進歩が見られた。
過去1年間の開発作業を捨て、ボディーワークをほぼ全て一新。
予選でクビサはQ3へ進出し、レースではハイドフェルドはいいペースを維持して、7位に入賞した。
このチームも、モノコックやギアボックス等の機械関係は変更できていないので、できることにも限界がある。
それを考えると、この結果は順当といえよう。
次のステップは、二層式ディフューザーとなる。
BMWはまだ、二層式ディフューザーを装備していない数少ないチームの一つである。
トルコGPでは、満を持して持ち込むようであるが、ファクトリー内ではその評価が定まっていないらしい。
二層式ディフューザーがうまく機能しないようだと、BMWの今シーズンは厳しくなりそうだ。
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