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フライアウェイを終えて 2010年シーズン序盤を振り返る レッドブル編

アイスランドの火山爆発によりF1関係者が、上海に足止めされるという珍事も発生したが、今年も例年通りフライアウェイ遠征4レースが終了した。 シーズン開幕前にはどこが速いとか遅いとか言われていたが、その実力が4レースを終わり明らかになってきた。 ここまでのところをチーム別に振り返ってみよう。 【レッドブル】 現時点での最速マシンがレッドブルであることは、誰の目から見ても明らかだろう。 特に彼らの予選での速さは群を抜いている。 4連続ポールポジションは、なかなかできることではない。 中国GPで、レッドブルの二台はフロントロウを独占したが、2位のウェバーは3位のアロンソに0.1秒以上の差をつけた。 4位以降のタイム差は1/100秒差単位という僅差であり、1/10秒単位で他車を凌駕するレッドブルは圧倒的パフォーマンスを誇っている。 今年は決勝レースを燃料満載でスタートしなければならないので、予選では車高を思い切って下げることができない。 基本的に車高を下げた方が、車体下面でのダウンフォース量が増えるので、どのマシンも車高を下げたい。 だが車高を下げすぎて路面と接触する。 そうするとその反動で車高が一気に高くなり、ダウンフォース量が急激に減少する。 こうなるとドライバーはコースアウトする危険性が出てくる。

その為、どのチームもボトミングしないギリギリの車高を狙ってくる。 軽い燃料の予選で低い車高をセットすると、燃料を満載した重い決勝では車高が下がり、マシンの底が着く可能性が出てくる。 そこで各車は予選では決勝で車高が落ちることを見込んで、車高をある程度高くせざるを得ない。 予選でのダウンフォース量は妥協しなければならない。 その予選でのレッドブルのスピードは他を圧倒している。 4連続ポールポジションである。 そこでマクラーレンなどが主張しているように、レッドブルは車高調整システムがあるのではと噂されるのである。 現時点での情報を総合する限りレッドブルに車高調整システムが装着されている証拠はない。 だからFIAも検査してシロの判定を下しているのだろう。 では彼らの速さの秘密は何か。 まずは近代F1を理解する鍵であるダウンフォースが、今年のマシンの中で最大であることは間違いないだろう。 実際、中高速コーナーを持つマレーシアや中国での彼らのスピードは突出していた。 トップスピードが遅いことも、それを裏付ける。 ダウンフォースは、抵抗を伴うのでトップスピードの遅さはダウンフォース量の大小に密接に関係している。 (マクラーレンは、Fダクトを使いストレート・スピードを獲得しているが、それはまた別の機会に述べよう) また今年、彼らは軽い燃料の状態でも、タイヤをうまく使えている。 燃料搭載量が少なく、車重が軽いとタイヤへ負荷が少なく、動作温度にまで上げるのに時間がかかる。 少なくともレッドブルに関しては、その心配はないようだ。 今年のブリヂストンのタイヤは昨年より耐久性が向上している。 それはレーススタート時に燃料満タンなので、タイヤへの負荷が厳しいという条件もある。 また今年は燃料補給をレース中にできないので、1ストップ作戦が主流になるという読みもあった。 そうするとチームによっては、1セットのタイヤでロング・ランして、もう1セットを極端に短いスティントにするチームが現れることも予想された。 その為、長い距離を走っても大丈夫な様に、昨年より耐久性をアップさせたタイヤを供給している。 その為、軽いマシンで短時間のうちにタイヤを上手く使うことが、予選で上位に来る鍵になる。 レッドブルは、その部分をうまくできている。 だがそうすると、決勝レースでのタイヤのタレが気になるところだが、彼らは元々のスピードが高く、レースではコース上での追い抜きが難しいこともあり、スタートで前に出てしまえば、ペースをコントロールできる。 序盤にある程度のギャップを築いてしまえば、あとは少しペースダウンして、タイヤを労ることができる。 レッドブルはその空力性能ばかりが、称賛されるが今年のマシンはメカニカルな部分も優れているようだ。 ストップ&ゴー・サーキットであるバーレーンやオーストラリアでも、彼らのマシンは速かった。 これらのサーキットで求められるのは、空力と共にブレーキングの安定性と立ち上がりのトラクションである。 今年のレッドブルは昨年、苦手にしていたこれらのサーキットでも、十分な競争力がある。 こうなると手がつけられない。 レッドブルが今後も、競争力を維持いていくと仮定すれば、特別なサーキットであるモナコとモンツァ以外の全てのレースで勝てる可能性が出てくる。 4連続ポールポジションにも関わらず、一つしか勝てなかったレッドブル。 信頼性の心配は続いているが、私はそれほど心配していない。 というのも彼らのトラブルは単体のパーツが多く、システム的な深刻な問題は少ない。 だから同じトラブルが発生する可能性は極めて低い。 それに比べると後述するフェラーリの方がはるかに深刻であると思われる。 どちらにしても最速のマシンと最速のドライバーを持つレッドブルを中心に、シーズン前半は展開していくだろう。

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