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2012 Rd.6 モナコGP観戦記 6人目のウィナー その名はウェバー

141017415KR054_Monaco_F1_Gr-s   6人目のウィナー ウェバー

今シーズン6レースで6人目のウィナーが誕生した。マーク・ウェバーである。彼の勝因はポールポジションからいいスタートを決め、最後までミスすることなく走りきったことにつきる。これは当たり前のように聞こえるが、モナコで最後まで集中力を切らすことなく、走りきることは、普通のことではない。特に今回はレース中に雨が降るとか、降らないとか微妙なコンディションの中でのレースだったからなおさらである。

彼は冷静に雨が降った時はペースを意図的に落としてリスクを低減させた。かなり遅くてもモナコでは抜けないことがわかっているからだ。とはいえ直後にニコが迫っていたので、難しいドライビングだった。たった一瞬のミスでウェバーはトップから6位に転落する危険もあったのだから。

  作戦成功のベッテルだったが

ベッテルはQ3に進出したがアタックせずに予選10位で終わる。これはスタートでのタイヤ選択に自由を持たせるためである。簡単に言うとプライム(ソフトタイヤ)でスタートするためだった。モナコでは事実上コースでの追い抜きが不可能なので、軽い燃料でのバランスがよくないベッテルは、決勝レース重視の作戦できた。

だがやはりモナコで勝つには、フロントロウからのスタートが絶対に必要。そういう意味ではこの時点でベッテルの勝利はなくなった。

ところがスタート前からレース中の雨が予想されていたことから、風向きが変わり始める。

ベッテル以外のトップ10は全てオプション(スーパーソフト)でスタート。スタートでレースペースの良くないミハエル・シューマッハーとキミ・ライコネンの前に出られた事はベッテルには幸運だった。彼らのペースは良くなかったから、もしスタートで彼ら2人の前に出られなければベッテルのレースはバトンのように終わっていただろう。

20周前後からオプションを履くドライバーはタイムの落ちが大きくなってきた。しかし雨が30周目前に雨が予想されていたので、誰もタイヤ交換をしようとしない。一方、ベッテルはプライムでいいペースを維持する。そしてさすがに上位陣もタイヤが厳しくなり、雨を待たずに27周目のニコを皮切りにタイヤ交換が始まる。そしてベッテル以外の上位陣のタイヤ交換が終わった時点でタイヤ交換をしていないベッテルがトップに立つ。この時点で2位のウェバーとの差が約13秒。本来であればフレッシュなタイヤを履いたウェバーが差を詰めてくるはずだったのだが、日曜日は予想以上に曇りで路面温度が上がらなかった。その為、プライムを履いた2位以下のドライバーはタイヤの温度が動作領域にまで上がらず、タイムがあがらない。ベッテルとウェバーの差は11秒から2秒もあり、2人の差は最大で17秒まで開く。20秒のギャップがあればベッテルはタイヤ交換後にトップでコースに戻れる可能性が出てくる。

引っ張りに引っ張ったベッテルだったが、タイム差が逆転しはじめた46周目にタイヤ交換をする。この時点でウェバーとの差は16秒ほど。ウェバーの後ろにはロズベルグやアロンソが1秒差で続いていたので、ベッテルは4位でレースに戻った。これはこれ以上、引っ張っても後ろのドライバーとの差は縮まるばかりなので、早くタイヤ交換して順位を確保しようとしたである。

ただ6位のマッサと7位のミハエル・シューマッハーとの間には20秒のギャップがあり、ベッテルはもう少し引っ張っても失うものは4ポイントだけだった。ベッテルがあと3周ほど引っ張った場合、ウェバーとの差を広げてトップを奪うことも可能性としてはあった。もし失敗しても6位は確保できている。ベッテルも46周も走ったタイヤだったので、感覚的には滑っていて限界だったのだとは思うが、勝利を狙うのであればギャンブルしてもいい場面であった。結果的にチームは4位の12ポイントと6位の8ポイントの差4ポイントはチャンピオンシップにおいて重要であると判断し、タイヤ交換。ベッテルは現時点でランキング2位である。

   アロンソのスーパーラップ

フェラーリは金曜日から好調だった。予選でもマッサがQ3進出を果たし、アロンソも予選6位でミハエルのペナルティで5位スタート。スタートでグロージャンがミハエルに絡んだので4位でレースを進める。ただ追い抜きが難しいモナコでは3位のハミルトンに近づいても抜くことはできない。そして迎えた29週目。前を走るハミルトンが先にタイヤ交換した、そのラップにアロンソは全体ベストのファーステストラップを記録。次のラップでタイヤ交換したアロンソはハミルトンの前でコースに復帰することに成功した。

通 常は先にタイヤ交換したドライバーの方が速いタイムを記録できるので有利なのだが、今回は曇り空とモナコのコース特性が相まって、プライムタイヤの温度が なかなか上がらずに後からピットに入ったドライバーの方が有利になった。レース前にフェラーリ陣営がそこまで読んでいたかは不明だが、前があいた瞬間に ファーステストラップを記録できるアロンソの集中力と、それまでタイヤを温存させていた冷静さには驚くばかりである。たった一度のチャンスを逃さなかった アロンソが3位表彰台。5位スタートを考えればこれはすばらしい結果と言えるだろう。

   ミハエル・シューマッハーの不運

これを不運といってはいけないのだろう。だがもしミハエルがポールポジションからスタートしていたら勝つ可能性は高かった。他のレースではなくモナコで失ったポールポジション、5グリッド降格のペナルティは、他のサーキットとは比べものにならないほど大きな影響を与えた。

ではポールポジションを取ったミハエルが、全盛時の輝きを取り戻せたのだろうか。私はそうは思わない。モナコGPは低速サーキットであり、特殊なコースである。高いGが連続するコーナーもない。これは年齢の高いミハエル・シューマッハーにとっては有利な条件である。それでもポールポジションを取ることは難しい。特にモナコであればなおさらである。だがミハエルが復調したかどうかについてはもう数レース見る必要があるだろう。

   可夢偉 リタイヤ

可夢偉のレースは事実上、スタート直後の1コーナーで接触して終わってしまった。その後も走り続けたが5周目にレースをリタイヤ。これは避けられないアクシデントであり、11位スタートである以上受け入れなければならないだろう。ただスタートは成功してベッテルの後ろにいたので、トラブルに巻き込ま れなければ、入賞は現実的な目標だった。いいスタートが接触につながるのだから、不運としかいいようがない。可夢偉にとってはいいマシンがあるのに結果が 出ない難しい状況が続く。

 

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