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2012 Rd10 ドイツGP観戦記 <BR>ー巧みなレースコントロール アロンソ

今回、1位のアロンソとベッテルやバトンとの差は僅差であったが、この2人はどう頑張ってもアロンソを抜くことはできなかっただろう。それくらいアロンソは見事なレースマネージメントを見せていた。では、まずはスタートから振り返ろう。

スタート時、1速での蹴り出しはアロンソ、ベッテルとも差がなかった。ところがそこから2速、3速、4速と加速する際に差が出た。この中間加速部分での差はドライバーの腕(正確には右足)にある。アロンソはスタート直後の難しい状況の中、見事にアクセルをコントロールして素晴らしい加速を見せた。その為、アロンソは難しいオープニングラップでベッテルを引き離すことに成功する。

アロンソがこのレースで苦しんだのが、第二スティントでミディアムタイヤに交換した時だ。ソフトタイヤと違い、うまく走れないアロンソ。タイヤにはブリスターも見えていて、タイムもベッテルやバトンの方が速かった。だがそれでもアロンソは冷静だった。彼は全体のペースを落としてもターン4の立ち上がりでKERSを使えばDRSを使った後続マシンに抜かれることがない事をわかった上で、タイヤの状況を見極め、ペースを落としてタイヤを労り、復活させてペースを戻した。これもなかなかできる事ではない。

このようにレース中盤で少し苦しんだアロンソだったが、それを感じさせないのがこのドライバーの素晴らしいところ。彼が優勝するとマシンがいいので誰でも勝てるように見えるが、そうではない。今回もアロンソというドライバーのすごさが垣間見られたレースだった。
 ▽ベッテルとバトンの激しいバトルはペナルティ
ベッテルとバトンのバトルはこのレースのハイライトだった。最終的にはベッテルがバトンを抜くのだが、ベッテルはコースの外を走って追い抜いたとして20秒加算のペナルティをもらう。これにより2位だった彼の順位は5位へと落ちた。確かに録画を見るとベッテルは完全に4輪をコース外に出して、バトンを抜いている。これだけを見ると確かにベッテルはペナルティだ。バトンのアウト側にはほんの少しスペースがあり、ベッテルがそこに右側の二輪を残すことは可能だったかもしれない。
だがバトンがそれよりもアウト側にこない保証はなく、ベッテルは安全をみてコースを外れることを選択した。結果的にこれがアドバンテージを得たと見なされた。
ただベッテルはコースアウトしなくてもスピードでバトンを上回っており、抜くことは可能だった。これによりアロンソとベッテルと差は44ポイント開いた。これは今シーズン、アロンソが連続入賞を続けていることを考えると逆転するにはかなり大きな差である。

▽可夢偉のベストレース
恐らくこれは彼のベストレースだろう。それは順位だけに表れていない。彼のレース中のラップタイムは素晴らしかった。ほとんどの周回数で彼はトップ3と同程度のラップタイムを刻んでおり、レース中で最速だったことも1度や2度ではなかった。
彼と上位陣との差はスタートの順位だけだったと言ってもいいだろう。

スタート前は前方グリッドからスタートするフォースインディアの二台をマークし、彼らとは違うタイヤを選んでスタート。これはグリッド上で可夢偉のマネージャーやエンジニア等がフォースインディアの装着タイヤを彼らの行動から推測した結果である。結果的に可夢偉のパフォーマンスが素晴らしくフォースインディアは敵ではなかったのだが最近、うまくいっていなかったチームとのいい連携だった。

それだけに雨の予選失敗は痛かった。Q2で雨が酷くなることを見越して可夢偉は早く出てアタックしたいと希望したにも関わらず、15分間のセッションが走りきれる燃料を給油してしまい、ピットを出た時には既に10台以上がアタックをしていた。
予選が上位であれば、上位の3台とバトルするだけの速さがあったのだが、残念ながらこれが現実である。ただ今回の彼の走りは全く見事であった。だが結果は4位。
自己最高とは言え、チャンスがあっただけに残念である。

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