フリー走行3回目でトップタイムを記録したベッテル。これは今シーズン初めてのことである。フリー走行3回目は通常、セッション終盤に予選のシミュレーションをする。そこでのトップタイヤは予選に大きな期待を寄せる結果となった。
だがメルセデスはまだポケットに隠し球を持っていた。FP3でセッティングを間違えたメルセデスは予選までにキッチリ修正し、予選では1-2を獲得。
こうなるとベッテルは苦しい。頼みのスタートでロズベルグに並びかけたが1コーナーで少しスライドしてしまい3位で走行することになる。
だがベッテルのペースは悪くなかった。ロズベルグとの差は大きく広がらず、常にアタックできる範囲内に納めていた。これまでのレースでも同様の展開はあったが、それはメルセデスがタイヤの寿命を延ばすために、意図的にペースを落としていたからである。だがモナコではタイヤの心配はなく、攻めた場合でも1ストップでいけるのは確実だった。
もしモナコが抜けるサーキットであったならば、ベッテルは実力で2位になれた可能性すらある。
結果的にメルセデスの判断ミスで、ハミルトンが3位後退したことにより、ベッテルは2位という希望以上の結果を得る事ができた。
そして表彰台後のインタビューで苦虫を潰したようなハミルトンと素直に喜べないロズベルグの横で、無邪気に喜ぶ姿がとてもベッテルらしくて、よかった。