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2013 Rd1 オーストラリアGP観戦記

▽明暗分けたタイヤライフ
今回勝負を分けたのはタイヤのライフだった。
昨年より柔らかいコンパウンドを使用した今年のピレリタイヤ。
開幕戦でもあり各チーム、まだ新しいピレリタイヤの特性やセットアップを詰め切れていない。
しかも今回、雨も多く各チームは走行距離を稼げていなかったので、タイヤ交換時期は手探りの状態で臨んだ。
もちろんある程度の目安は計算しているが、実際のタイヤ交換時期はレースでのタイヤの状態を見ての走行になる。

今回ロータスは最初から2ストップを狙っていた。
優勝したキミは7番手スタートだったのだが、それもまた味方した。
オープニングラップで4位に上がったライコネン。
これは勝利への大きなステップになった。
 トップを争うアロンソとベッテルはレース前半から激しく争っていた。
その為、タイヤを酷使することになり、またお互いに相手のポジションやタイムを気にする余り、一人がタイヤ交換するとそれをカバーするために、もう一人もタイヤ交換するようなマッチレースの様相だった。
一方のキミは自分のレースをしていた。
その為、彼はタイヤを労りながら、自分の設定したペースで走ることができた。

そしてベッテルとアロンソがお互いを意識している中、ライコネンは第二スティントを25周走りきる。
2回目のストップが終わった時点で残り24周。
この時点で2ストップができることをロータス陣営は確信した。
途中までフェラーリとレッドブルは、ロータスも3ストップで来ると思っていただろう。
だがキミが第二スティントでいいペースで走り続けるのを見て、2ストップ狙いを気付いたが手遅れだった。

ロータスの心配はキミがアロンソより5ラップ早く最後のタイヤ交換したことだった。
たださすがにキミはタイヤ交換直後の数周はペースを落として入り、タイヤのいい状態を保って、レース終盤にはいる。
一方のアロンソはキミとの差をつめる必要もあり、タイヤ交換直後から激しく攻めた。
その為、レースの最後はキミの方がタイヤの状態がよく、キミがラスト2周で全体ベストタイムを出したところで勝負あり。
最後の数周はアロンソもペースを落として白旗を揚げた。
ちなみにキミが最後に全体ベストを出しのは、ベッテルのように最後の楽しみに攻めたのではなく、最後アロンソに諦めさせるのが目的であった。

では今年も恒例の各チーム別に占ってみよう。
開幕戦が雨絡みで読みにくい部分があるのをご理解していただきたい。

【レッドブル】
速さは健在だが、タイヤも持ちはライバルに劣る。
タイヤを理解し最適なセットアップを見つけるのがこれからの課題になる。

【フェラーリ】
昨年の同じ時期は絶望的な状況だったが、今年は違う。
アロンソは、このレースの3ストップ勢で最上位だった。
予選のペースも悪くないし、タイヤも持ちもいい。
今年は普通に戦えそうだ。そしてアロンソには普通のマシンがあれば、タイトルを狙える。

【ロータス】
今年もタイヤに優しいマシン特性は健在。
キミの能力を持ってすれば今後もタイヤに厳しいサーキットでは優勝を狙えそう。
問題は予選の速さで、予選上位につけられれば優勝を目指せるだろう。
資金的に余裕があるわけではないので、シーズン前半にポイントを稼ぎたい。

【マクラーレン】
マシンのコンセプトを一新したので、まだまだマシンの理解が進まず苦労している。
テスト制限があるのでさすがのマクラーレンも苦労している。
彼らのことなので、シーズン中に開発を進め競争力を取り戻すとは思う。
ただ早くマシンの改良を進めないとトップとポイント差が開き、チャンピオンシップは難しくなる。

【メルセデス】
マシンの速さはまずまずありそうだが、タイヤを持たせられるかが鍵になりそう。
今回は2ストップを目指したが戦略の違うアロンソと争い、タイヤをロックさせ派手なフラットスポットを作り、3ストップを余儀なくされた。
チームはあそこでハミルトンに無理させることはなかった。
作戦が違うし、どちらにせよフェラーリと順位を争うことはできなかったからだ。
この様なミスをしなければ、ハミルトンの加入もありコンディションによっては勝利も狙える。

【フォースインディア】
予想以上にいい。
昨年のザウバーの様に表彰台を狙えるかもしれない。
1年のブランクから復帰した、スーティルはベッテルやアロンソを抑え込み一時トップを快走。
とても印象に残る走りだった。
今年オフの移籍の目玉になるかもしれない。

【ザウバー】
かなり攻めたマシン作りをしてきたが、昨年同様の速さはありそうだ。
問題はグチエレスがどの程度ポイントを稼げるか。

【ウィリアムズ】
ボッタスが前評判にこたえる走りを見せてくれた。
ただマシンの速さは見られず、マシンの開発がどこまで進むか。
マネージメントと開発の主要メンバーが抜けた影響が心配される。

【トロロッソ】
このチームもなかなかいい。
決勝では結果が残せなかったが、競争力はありそう。
今年も中堅チームの争いは厳しくなりそうだ。

【ケータハム】
今年も苦労しそうだ。
特に新人ドライバーが2人と言うこともあり、セットアップと開発には苦労するだろう。このままではコンストラクターズランキングで最下位になる可能性もある。

【マルシア】
元ルノーのパット・シモンズが本格的に加入。
昨年とは違いかなりの速さがある。
今年はケータハムの上を狙うのも現実的になってきた。
新加入のビアンキの走りもいい。

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