輝いた新星 バンドーン
バーレーンGPの週末を迎える前に大きな波乱があった。開幕戦で大きなクラッシュをしたものの、大きな怪我もなくこのレースにも当然出走すると思われていたマクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソにドクターストップがかかったのである。
そこで急遽、日本でスーパーフォーミュラのテスト中だったバンドーンのF1デビューが決まった。もっとも彼はリザーブドライバーとしてバーレーンGPに帯同する予定だったのでテストを途中で切り上げてバーレーンに向かうのは当初の予定通りの行動であった。
とはいえドライブすることが決まったのは木曜日だし、バーレーンに向かう飛行機の中で、マクラーレンのスタッフから送られてきたマニュアルを読むという慌ただしさである。
それでも彼はこのチャンスを結果に結びつけた。予選ではバトンより上位の12位。実はバトンは路面温度が変化したことに対応しセットアップを変更した。だがバンドーンは小さなトラブルが発生し、セットアップ変更の時間がなくなり予選にのぞんだ。
もちろんそういう幸運があったのは事実である。だがそれでもバトンよりも予選でいいタイムを出すのは簡単ではない。しかも1周のアタックラップで無理をしてミスすれば、全ては終わりである。
彼は今年のマシンをドライブしたことがないのである。これは最近の複雑なF1マシンを考えると、難しい状況である。
そして決勝レースでも一時は7位を走行。その後は順位を落とすが10位でフィニッシュ。F1初挑戦で初入賞である。
F1の初戦でもっといい成績を残したドライバーもいる。だがこの順位は今のマクラーレンの実力をあらわしている。もしマクラーレン・ホンダにもう少し競争力があれば、彼はもっと上位にいけた。
良いドライバーの条件としてもっているマシンの潜在能力を100%出せると言うことがある。そういう意味では彼は今のマクラーレンの実力を予選・決勝ともに引き出したと言える。
これで来年のマクラーレン・ホンダのシート争いが厳しくなると思われる。バトンが来年もマクラーレンに残留できるかは、これでわからなくなってきた。
次の中国GPにはアロンソが戻ってくると予想されているが、バンドーンの次のレースが見てみたい。
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