2005年F-1 Rd2 マレーシアGP 観戦記 決勝編
▽アロンソ完勝とフェラーリ沈没
アロンソがスタートから飛び出し、ピットストップ以外では一度もトップの座を明け渡すことなく優勝した。
オーストラリアでのフィジケラと同じ完璧なレースだった。
一方のフィジケラはウェバーとの3位争いの中で、タイヤをロックしてウェバーに激突。
レースを終えた。
オーストラリアに続きアロンソは素晴らしい走りを見せてくれた。
これでルノーがチャンピオンシップ争いでスタートダッシュに成功。
コーナーもストレートも速くタイヤにも優しいルノーは今の時点では文句のつけようがない。
この勢いはしばらく続きそうだ。
これとは対照的なのがフェラーリ。
結果的にミシュランタイヤは最後まで大きくドロップすることなく走りきり、ミハエルが7位に入るのがやっとだった。
昨年の強さがブリヂストンタイヤに負うところが大きかった、その反動が出てきている。
フェラーリ&ブリヂストンも今回の結果にはショックを受けているだろうから、今後の巻き返しが期待される。
今回、ブリヂストンが持ち込んだタイヤが単純にマレーシアの合わなかっただけなのか、それとも構造的なものも含めた根本的な問題なのかが今後を左右する。
単純にシミュレーションに失敗し、合わないタイヤを持ち込んだのならば、次回以降のサーキットに合うタイヤを持ち込むようにすればいい。
そうではなくて構造やコンパウンドも含めたタイヤの基本性能がミシュランより劣っているのであれば、これは大問題だ。
ブリヂストンは今後、GPの合間を縫いながら全く新しいタイヤの開発を余儀なくされるわけだからこれは大仕事となる。
それともブリヂストンは隠し球となる、別のタイヤを用意しているのだろうか?
フェラーリの今後はニューマシンとそれに装着するブリヂストンタイヤにかかっている。
フェラーリに代わって今年好調なのがトヨタ。
オーストラリアでは後半ずるずると後退したツゥルーリ。
チームからはタイヤにトラブルがあった発表されたが、本当かなと思っていた。
でも今回、トヨタがタイヤに優しいマシンではないかもしれないが、最後まで大きくペースを落とすことなく走りきれることを証明した。
このペースでトヨタが走れるとなると、今シーズン中に一つ勝っておかしくない。
当面のライバルはルノーであり、ルノーは同じタイヤをはいていて、昨年のフェラーリとBARの関係とは少し違う。
フェラーリとBARはタイヤメーカーが違い、しかも昨年はブリヂストンタイヤのパフォーマンスがミシュランを圧倒してからBARが勝つのはかなりの難問だった。
そう考えるとルノーとトヨタの違いはそれほどではなく、トヨタにはチャンスがありそうだ。
そうなると苦しい立場なのがホンダとなる。
後から参入、しかも自前のチームで来たトヨタに先を越されて優勝されるとなると心中穏やかではないだろう。
今は50%という中途半端な株式しか保有していないホンダがBARを全て買い取り、自前のチームにする日も遠くないかもしれない。
そのBARの調子がよくない。
バトンはスタートダッシュを決め、調子よくラップを重ねていた矢先にエンジントラブルでリタイヤ。
デビットソンも同じ周回で同じようなトラブルでリタイヤという無惨な結末に終わった。
オーストラリアでルールの隙を狙い、マレーシアで新品エンジンを使えるようにわざわざピットインさせたにもかかわらずのこの結末はホンダ陣営にはかなりの衝撃を与えただろう。
ただ同じような周回に同じような原因でリタイヤしたのであればあまり今後は心配ないだろう。
おそらくどこかに不良の部品が組み込まれていて、それが原因と考えられるからだ。
もしそうでなくて、原因がはっきりしないとなると今後、エンジンの開発が思ったように進められなくなり苦しくなるかもしれない。
ウィリアムズは決勝レースのペースは思ったより速く、今後は予選でのスピードをクリアできればトップ争いに絡めそうである。
ウェバーはフィジケラと激突してリタイヤしたが、代わりにハイドフェルドが表彰台の一角を占めた。
レッドブルは逆に予選での速さを利用して、決勝レースで結果を残している。
今回も2台とも入賞して、オーストラリアでの結果が予選の天候に助けられたものでないことを証明した。
表彰台を狙うのは厳しいかもしれないが、前半戦はレッドブルに食われたチームは厳しくなるだろう。
予選と決勝を1セットのタイヤで走りきる今年のレギュレーションだとほんのささいな空気圧の調整ミスやブレーキングミスでのフラットスポット等の問題がタイヤのパフォーマンスを大きく左右するように思える。
そうなると、ピットインする前にマシンの調子が変わらないのか、悪くなっているのか感じ取り判断する能力が必要とされそうだ。
ほんのわずかずつだが、アンダーステアが出ているのにそれを見過ごしピットインした際に何も手をうたなければ、タイヤの摩耗が進むほど症状が悪化してきて後退することになる。
逆に空気圧を変えることにより、調子が悪くなることもあるだろうし、今後はこのあたりも注目してみるとおもしろそうだ。
次はこれまた暑いバーレーンGP。
フェラーリとブリヂストンが新しいマシンとタイヤを持ち込むのか。
それとも本格的な反攻はヨーロッパラウンドに入ってからなのか?
ルノーの快進撃はどこまで続くのか。
興味深いバーレーンGPを待とう。
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